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少年院を単独訪問=国連弁務官、職員の同行拒否

10月2日(木)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十月一日】国連のアスマ・ジャハンジル弁務官(五一)は身長一・五メートルの小柄なパキスタン人だが、落ち着いた語調で衝撃的な視察目的を述べ関係者をろうばいさせた。
 これまでの国連係官の視察には、政府関係者が同道し立ち会った。少年院(FEBEM)収容者との直接対話でジャハンジル弁務官は、初めてブラジル側関係者の同道を拒絶した国連係官となった。
 同弁務官はパキスタン軍事政権の人権問題にNGOの弁護士として活動した体験があり、NGOの活動限界は熟知していると述べた。ブラジルの人権実態解明は前政権時代から、国連と米州機構(OAS)の要請があった。カルドーゾ前大統領が無条件で検閲を容認したことで今回実現したと、同弁務官が語った。
 国連弁務官は二〇〇〇年と二〇〇二年、今年七月の
報告書で再々、ブラジル刑務所職員の拷問と数々の拷問用具の存在を確認し、虐待の事実を指摘したが改善の様子は全くなかった。
 サンパウロ市の二少年院を視察して日常茶飯事に行われる拷問で、少年院を管理する未成年支援財団(FEBEM)のパウロ・S・オリベイラ局長に、同弁務官は単独会見を許可するよう対決姿勢をみせた。
 政府関係者の立ち会いを排除し同弁務官の側近のみを引き連れ、収容者との直接対話による虐待と拷問の実態を国連へ報告するというのだ。同弁務官のもとには、拷問によって死亡した息子の親たちの手紙が、多数寄せられている。