9月24日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十三日】ゼーリック米通商代表(USTR)は二十二日、カンクンで行われた世界貿易機関(WTO)閣僚会議を失敗に終わらせたのは、ブラジルを中心とする途上国連合の責任であると英紙フィナンシァル・タイムスのオンラインで発表をした。ブラジル政府の閣僚らは、一斉に反ばく。米代表は同盟国として、ブラジルの決断と方針についてよく話し合いたいとしている。
カンクンWTO閣僚会議に出席したブラジル政府閣僚は、一斉にゼーリック米代表の対伯非難声明に反論した。同会議で先進国代表は、農産物の補助金制度による貿易障壁の除去や関税の低減に応じなかった。米代表は、意見が交渉を望むのと拒否するとで食い違ったとしている。米国の平均関税率はブラジルより、はるかに低率だという。農産物問題に関してはEUや日本の提案を途上国が拒絶したのであって、交渉決裂は先進国の責任ではないと弁明している。
同代表の書簡内容は概略、次のようなものであった。ブラジル政府に対し、貿易戦争を宣戦布告する。国際貿易の交渉舞台からは今後、ブラジルを除く。貿易の国際会議は、合意国と非合意国の二組に分ける。
米国は、非合意国の承認を取り付けるようなことはしない。カンクン閣僚会議でのブラジルの振る舞いは冗談であろうが、真面目なら度が過ぎる。ルーラ大統領はニューヨーク滞在の三日間に、まいたものを刈り取ることになる。ブラジルは分際をわきまえず、米国を甚だしく刺激した。
アモリン外相はブラジル案は建設的であったとし、失敗の責任転嫁は無益な抵抗だと非難した。会議後に変化が起きたとすれば、米国であってブラジルではない。WTOの農業委員会にブラジルを議長国とする案があったが、EUによって拒否された経緯がある。それ以来、ブラジルの主張は一貫していると述べた。
ドバイで開催中の財務相会議に出席しているパロッシ財務相は、通商交渉は平均関税率では交渉の対象にならないとし、品目別の関税率で検討すべきだと述べた。先進国は途上国の得意とする産物を狙い撃ちにした障壁制度を設けたのが、問題だと指摘した。
ロドリゲス農相は、ゼーリック米代表が何か勘違いしていると述べた。ブラジルが途上国連合をリードしたことが気に触ったようだが、これまでの政府ができなかったことを新政府が行っただけだと語った。
フルラン産業開発相は、交渉の机に提案を置いただけだという。交換条件がなければ、取引は成り立たない。WTO会議が決裂した本当の理由は、米代表自身も知っているとした。
英紙の掲載記事はニューヨーク伯米商工会議所で開催された討論会にも、不快な影響をもたらした。リナック駐伯米大使はゼーリック書簡の懐柔を試み、ブラジルを国際貿易のガンとする見方を是正するように求めた。しかし、WTOカンクン会議を先進国対途上国に色分けしたことは、本来のテーマを議論する妨げとなったとした。