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大統領、国連総会演説へ=常任理入りに意欲=反米戦略の旗幟鮮明に=各国首脳と積極外交

9月23日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日】ルーラ大統領は二十一日、訪米の途に就ついた。ニューヨークの国連本部で二十三日、開催される第五十八回国連総会で開演演説を行う。さらにアナン国連事務総長やドイツ、フランス、アルジェリア、モザンビーク、ロシアの五カ国首脳との会談や事務総長主催のレセプションへの出席、続いて米国労組代表との会合、メキシコとキューバ訪問など四日間にわたる公式訪問が予定されている。

 今回の訪米の主な目的は、国連安全保障理事会へのブラジルの常任理事国入りの根回しとみられる。大統領は二十二日午前、各国首脳と懇談を行う。その後「テロと人権」に関するセミナーに出席、テロ対策には国連主導による他国間協議を主張しブラジルの常任理事国入りの支持を得る予定。
 テロに関するセミナーにはドイツのシュレーダー首相やイタリアのベルルスコーニ首相をはじめ二十五カ国の首脳と事務総長が出席する。イラクへの武力介入で一九四六年の設立以来、国連を最も微妙な立場に追い込んだ米国の覇権主義に反対する意見を述べ、大統領は旗幟(きし)鮮明にするとしている。そのために覚悟の上で米国支援の国々の批判を、あえて受けて立つという。
 セミナーではメーロ国連事務総長特別代表の追悼式も、大統領が併せて行う。追悼式は、紛争解決に一国による独断専行を戒める機会とする。大統領はメーロ代表の死を通し、テロ対策は多くの国々の協力を得て効果があることを強調する考えだ。
 二十二日午後は、事務総長との昼食会。午後二時四十五分はフランスのシラク大統領との会談がセットされている。ブッシュ米大統領との会談は、まだ確認されていない。
 国連支持のない米国のイラク武力介入は、明らかに間違いであると、大統領は各国首脳に訴えるという。イラク駐留後、多数の米英兵がテロの犠牲となっているのは、その結果だとしている。G23途上国連合を組織したように、ブラジルの常任理事国入りが実現するなら米国の首に鈴を付けるため尽力するとした。
 伯仏両首脳は、イラク問題と中東和平打開で対米外交を、また農産物の補助金問題で通商外交に同盟関係を結ぶ意向があるようだ。
世界貿易機関(WTO)カンクン閣僚会議では米国とEUは同盟関係を結んだが、大統領はフランスを引き抜き農産物と国連安保理をセットに取引をするらしい。
 大統領は帰路、キューバへ立ち寄る予定。大統領は政権就任の初年、キューバを訪問するとカストロ首相に約束していた。同国訪問時に、産業開発銀行(BNDES)融資による一億レアルのブラジル製品輸出で、キューバへの経済援助を行うことを提案する予定。ルーラ大統領一行を迎えキューバでは、カストロ首相が大歓迎会を準備している。