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コラム 樹海

 首都ブラジリアからの八月の通信(地方便り)の中心は盆踊りだった。三団体が催していた。既成仏教の寺(の境内)で催されるのは珍しくない。ただ、参加者の九〇%が非日系人だとなると、これはちょっとしたニュースだろう。地元にすっかりとけ込んだ日本の伝統行事といえる▼九〇%には理由があった。ケルメッセ(ブラジルの旧来の慈善バザー)と組み合わせて催しているのである。毎週末やっても、そのつど盛況となる。ケルメッセの客が踊り手なのだ▼「ケルメッセ・盆踊り」の牽引車の役割を果たしているのは、やはり日系婦人たちである。おさんどんをしながら、踊りの先導役もつとめる。婦人たちを抜きにしてこうした催しは成立しない▼ブラジル人たちは、おおむねリズム感が発達しているので、すぐに振りをおぼえ、自分のものにしてしまう。そしてフォークダンスが加えられる。若い層は「炭鉱節」や「相馬盆歌」だけでは満足しない。木に竹を接いだようだが、これぞブラジルの盆踊りといわざるをえない▼首都からだけでなく、各地から盆踊り便りがあった。開催開始年の古さを誇るもの、規模の大きさを伝えてくるもの、さまざまだ。それと、これこそブラジル的なのだが、一年中時期を問わず、踊っていることだ。盆踊りを、全く関係がない催しのフィナーレを飾る華?として、取り入れている▼「なんでもあり」のブラジルでは、盆踊りが今後どのような変貌をとげるか、想像がつかない。(神)

03/09/19