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文協のすぐ近くで強盗=レストラン経営者=田中新八さん被弾=売上狙い二階窓から侵入=東洋人街の治安問題に課題

9月17日(水)

 十五日午前二時ごろ、サンパウロ市リベルダーデ区サンジョアキン街四三〇のアパート二階にある田中新八さん(七〇、レストラン経営)宅を、強盗二人組が襲い、田中さんの左わき腹を拳銃で撃ち、そのまま何も取らずに逃走した。田中さんは近くのバンデイランテス病院へ運ばれ、現在も集中治療室に入院している。事件が起きた場所は、ブラジル日本文化協会の目と鼻の先に位置し、日系人の出入りの多い場所だけに、東洋人街の治安問題に課題を投げかけている。

 通報を受けた第五警察によると、強盗はベランダから侵入、部屋に押し入ろうとした。現在、アパート隣では在伯客家の文化会館が建設中で、強盗は工事現場を囲う柵を足場に利用してアパートの外壁をよじ登った。
 通りにはさらに二人の不審者が確認されており、この二人が見張り役を務め柵への踏み台になった。
 異変に気づいた田中さんは窓を抑えるなど強盗に抵抗したため、撃たれた模様。家には妻久美子さん(七〇)、長女志美子さん(四七)、次女美八子さん(四四)がいた。
 強盗は白人と黒人で年恰好は若かったという。いずれも銃を携帯。現場で二、三発を放ち、うち一発が田中さんに命中した。
 田中さん一家は同じサンジョアキン街でレストラン「新八」を経営。自宅には週末の売上金が保管してあった。強盗らは田中さんの素性や行動を良く知っていたものとみられる。
 久美子さんは事件を振り返り、「突然、『窓を開けろ』と叫び声が聞こえてきたので、怖くなって廊下に逃げた。主人だけは必死に窓を抑えようとしたため撃たれた。でも不幸中の幸い。助かってよかった」と話している。
 田中さんは熊本県出身、一九五九年に家族で来伯。サンパウロ市イタケーラで桃栽培や養鶏を手がけ、その後、現在のレストランを開店して三十年近くになる。襲われたアパートには二十年以上住んでいるが、これまで強盗に入られたことはなかったという。