9月17日(水)
静岡県小笠郡の人材派遣会社、遠州産業グループが先月三十日に倒産、雇用されていたブラジル人労働者らは二ヵ月分の給料をもらうこともままならず、日常生活やブラジル在住の家族への送金などに支障をきたしている。十三日付、インターナショナル・プレス・オンラインが報じている。
同グループは遠州産業、ミツバ、シンショウの三社を統括する人材派遣会社で、百人以上のブラジル人を雇用している。ブラジル人労働者は、倒産の二日前に事実を知らされたらしい。ファビオ・トシハル・ナカヤマさん(二六)は、「知らせを聞いてからも、状況がわからないまま、四日間、ほかの人材派遣会社に移るまで働き続けた」という。マリオ・カサハラさん(三四)とマリア・ノバヤシさん(四二)夫妻は、ブラジル在住の子どもたちに送金できない上、「電気、電話、ガス、家賃を払えない」と嘆いている。
倒産の知らせに憤った労働者たちは、給料がグループ内で使い果たされたのかどうか問いただしたところ、「担当者は、『お金は社会保険庁にある』と言った」とヨシノリ・ヤシロさん(五〇)は証言。ブラジル人労働者たちは十日、磐田市の社会保険事務所を訪ね、「未払い賃金の立替払い制度」を申請した。「会社にはお金がない。社会保険庁とともに、未払いになっている給料について争うつもり」とロベルソン・セイチ・ヒロイワさん(四六)は語る。
ただし、「未払い賃金立替払い制度」の実現は数カ月先になりそうだ。裁判所が倒産後に残された資産を見積もり、債権者への返済が可能かどうかを調べる必要がある。残った資産からは税金、従業員の給料が優先的に支払われるが、グループに支払い能力がない場合、社会保険庁が給料の八〇%を支払うことになるという。