9月16日(火)
【既報関連】ようやく百周年祭典〃協会〃が正式に発足した。十三日午前十時から文協小講堂で開かれた「ブラジル日本移民百周年記念祭典実行委員会総会」で、定款案が全員一致で承認され、同時に副理事長と監査役・補欠監査役が選出され、月額会費も決定された。批判的発言が相次いだ前回とはうって変わり、シャンシャン総会。組織の骨格だけは生まれたが、「なにを百周年でやるのか」という根本的な課題は白紙のまま。一刻も早い本当の意味での活動開始が、日伯双方から期待されている。
今回は、前回(三十七団体)を上回る四十九団体(五十六人)が出席。遠くはパラナ州クリチーバ、MGS州カンポ・グランデ、リオ州などからも参加があった。サンパウロ州内ではリンス、サンジョゼ・ド・リオ・プレット、アシス、グアタパラなどからも出席した。
岩水マリオ文協専任理事を議長に総会は進められ、まず、定款案への修正事項が発表された。実行委員会という名称が百周年記念祭典〃協会〃へ変更。さらに「五~十五人」だった副理事長の人数が、「五~三十人」に大幅に増加。評議員会という名称を「相談役会」(Conselho Consultivo)にした点などが説明された。
加えて、修正前は委任状があっても理事会への代理出席は認められなかったが、「代理出席は理事会内の他の理事に対する委任状をもって可とし、また、信憑性を確認した上で、手紙、ファックス、Eメールその他の電子情報手段による投票を認める」と現実的な線に変更された。
全員一致で定款が承認された後、理事の選出になった。理事職は個人指名でなく、該当団体代表があたる。前回選出された理事長=ブラジル日本文化協会や副理事長五団体に加え、地方から新しく六団体が選ばれた(=表参照)。この他、マナウス、ベレン、リオ、パラナ、ポルト・アレグレの各商工会議所に副理事長就任の打診をしている。
今後、必要に応じて順次、副理事長候補を選び、来年一月開催予定の次回総会で選任する。
最後に月額会費として「五十レアル」が議長側から提案。毎月一万五千~二万レアル程度の経費が予想されるので、この金額になったと説明した。
それに対し、アラサトゥーバ文協の加藤会長から「ノロエステ連合には三十もの加盟団体があるが、会員数が十五人という所もある。会費を払えない団体は、百周年から〃のけもの〃にされてしまうのか?」との質問があり、渡部和夫文協改革委員長らが「基本的には五十だが、小さな団体に限っては、いくらでも構わない」という案を出し、三団体が反対票を投じたが、賛成多数で仲裁案が議決された。
サンタクルース病院の池田昭博氏から「日系団体全てに加入義務があるのか?」との質問が寄せられ、議長側から「義務ではないが、できるだけ加入して欲しい」との希望が出された。
閉幕にあたり、サンパウロ総領事館の中須洋治領事は「二年間かかって、やっと定款ができた。残すところは、五年という限られた時間。何をするのか、どういう方向でいくのかを一日も早く決めもらうよう、一層の努力をお願いしたい」と激励した。
上原理事長はそれに応えるように「これからは、どんどん百周年に相応しい、全伯で取組むべきプロジェクトを持ってきて欲しい」と呼びかけた。
■記者の目■
日本に顔が利く人材を
理念は立派だが具体像は?
二年がかりで、ようやく定款が完成した。日本語版で〃八頁〃の労作だ。やっと受け皿はできたが、肝心の中身はまだ。総会参加者の中から、特に一世層の不安の声を拾ってみた。
「上原理事長は十九日から日本へお披露目に行くらしいが、肝心のプランがなくて、お金だけ協力してくれって言っても難しいのでは」と心配する声。
また「執行部には、ブラジル社会への顔としては立派な人が多いけど、日本側に通じる人が…。日本とブラジルの祭典なんだから、日本側からも意見が言いやすいような人を入れないとバランスを欠くし、何かお願いする時にも困るのでは」という意見も聞いた。
さらに「全伯規模のプロジェクトをするなら、いつものようにサンパウロ総領事館にお願いするだけでいいのか。パラナやアマゾンでは、すでにプランを持っているというし。どういう形になるのか、具体像が見えない」との声も。
全伯の団体のバランスを配慮して役員を選ぶよりは、当日参加した団体を優先して選任している感を免れない点も気がかりだ。
これらの不安が五年後に現実化してしまうのか、それとも一世のボヤキで済んでくれるのか。予断を許さない状況のようだ。(深)