9月9日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙八日】サルバドール市で行われた独立記念日パレードは七日、ブラジル司教会議(CNBB)や市民団体、学生、小農業生産者で構成する〃社会的に疎外されている者の叫び運動〃によって中断させられるという前代未聞のハプニングとなった。CNBBのジェラウド・M・アギネロ枢機卿は「底辺の人々の忍耐は限界にある」として乱入者を弁護した。サルバドール管区長は、抗議をする市民の貧しさは一目瞭然(りょうぜん)であると述べた。
同運動は、全国主要都市の独立記念パレードに並行して行われた。軍事行進に続くか、軍事行進へ飛び入りするなどの行為もあったようだ。サルバドールでは陸海軍と軍警のパレードに、学生グループ千二百人がなだれ込みパレードを中断させた。続いて農地占拠運動(MST)三千人、ホームレス千五百人、露店商、黒人団体など底辺の人々多数が合流した。
サルバドールはバス料金の値上げで、二日から連日の抗議デモが行われていた。独立記念パレードが行われた市中心部大通りは、暴徒化した抗議デモが警備の人垣を破り乱入した。暴徒が来賓席から五百メートルにまで迫ったため、陸軍士官学校八校のパレードを残し式典は中断された。州知事や市長など来賓は、特殊警備隊に守られて早々に避難した。
CNBBのアギネロ枢機卿は、ブラジルの階級闘争は下層階級にとって圧力なべのようなもの、忍耐は限界にあると述べた。サルバドール管区長も庶民の貧窮は、誰の目にも一目瞭然であると述べた。最近サルバドールで起きている抗議デモは、社会改革を求める下層民の叫びだと訴えた。
CNBBが指揮を執った〃社会的に疎外されている者の叫び運動〃第八回はサルバドール、ベロ・オリゾンテ、カンポ・グランデ、クリチーバ、フロリアノポリス、フォルタレーザ、ポルト・アレグレ、レシッフェ、ヴィトリアなどの三百四十都市で行われた。サルバドールの警備態勢は手薄であったと関係者は認め、パレードを予定より五十分早く中断した。
枢機卿はサルバドールの事件が、ブラジル全国へ波及して〃社会的に疎外されている者の叫び〃が届くであろうとした。問題は、バス代に困っているサルバドールの貧乏学生だけのことではないと述べた。ルーラ大統領をはじめ知事、市長、有力者階級は底辺の人々の口を封じるだけでなく、最悪事態を回避するため善処、協力して欲しいと訴えた。
この運動は、全国で二百万人が参加して行われたと報告した。主催はCNBBを中心に市民団体、宗教団体、社会運動団体などが後援した。同グループは、米国の圧力で締結を余儀なくされ、ブラジルの要望が一顧だにされない米州自由貿易地域(FTAA)構想に反対していた。反対運動を七日、終了して署名書を十六日大統領府へ手渡す予定だ。