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WTO閣僚会議 米欧が途上国に圧力=補助金問題こう着=20カ国結束して対抗を=大統領 支援取り付けへ

9月6日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】米国ワシントンで行われた世界貿易機関(WTO)のカンクン閣僚会議準備会合で、ラミーEU代表とゼーリック米代表は四日、農産物の自由化問題でブラジルの要求は交渉のベースにならないとの見解を示した。同代表は、ブラジルは未来の大国であっても、今日の大国は米国とEUであるとした。ルーラ大統領は「国際取引には考慮も譲歩もない。ブラジルが辛らつに対応するのは当然である」と語った。

 カンクンで十日から開催されるドーハ・ラウンドのWTO閣僚会議は、農産物の自由化を要求するブラジルに容赦のない圧力がかかっている。EUと米国の代表らは国際舞台の主人公は先進国であるとして、規制撤廃を訴えるブラジルの努力は徒労に終わるとした。
 農産物問題はカンクン会議の主要議題ではあるが、資本財とサービスの関税削減を優先して、農産物は平行協議になると、ゼーリック米代表が述べた。ブラジルをはじめとする二十カ国の連名で、途上国経済を著しく損なう先進国の補助金制度の廃止要求は一蹴(いっしゅう)された。
 フィッシュラーEU農業担当委員は、「ブラジルは月へいくために星を経由しようとしている」と途上国連合を皮肉った。ブラジルを代表とする途上国連合は、「銀河系宇宙以外から来た宇宙人のようだ」とした。宇宙旅行を継続する選択をしても惑星に到着できないと批判し、交渉を継続したいなら「地球に戻って現実的対応をせよ」と、傍若無人に発言した。 
 国際交渉では〃力の論理〃がものをいい謙虚は通用しないと、ルーラ大統領は経済開発審議会で企業家らに語った。ブラジルが直ちに、なすべきことは補助金問題に対決するため南米諸国の団結だと述べた。
 途上国結束のために大統領は十一月、アフリカ諸国歴訪の旅に出る。十二月にはレバノン、アラ首長国連邦、サウジ・アラビア王国、シリア、エジプト、リビアを訪問する。アラブ諸国が米国に数千億ドルを預けて置くのは不可解だとし、ブラジルへ一部投資するように交渉するという。
 WTO交渉の舞台でもアラブ諸国の経済的支援があれば、屈辱的敗退は避けられるとみている。カンクン会議を機会に、政府は南アフリカやインドと同盟関係を結び、さらに中国とロシアの政治的支援を取り付け、より強固な途上国同盟を形成する考えだ。
 アモリン外相は下院外交委員会で四日、米国やEUを中心とする先進諸国の横柄な態度に過激な反応をしないで、途上国二十カ国の連合結成で対抗する考えを示した。二十カ国の中には、米EUの懐柔作戦にだまされ、寝返る国もあると思われる。政府はカンクン会議の前日九日、農産物生産国のケアンズ会議に続いて、二十カ国連合の協定内容を説明して抜け駆けを防ぐ根回しを行う考えだ。