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コラム 樹海

 陸上自衛隊の演習が大人気だそうだ。こんな嬉しい話はないのだが、実は不思議な気もする。その昔。自衛隊を見る世間の目は冷たい。休日などで外出するときも自衛隊員らは誇りある制服を遠慮し私服に着替えるのが普通であった。陸上も海上も空の守りにつく若人もがである。左系からは「税金泥棒」の罵声も浴びた。が、彼らは黙々と国の守りにつき訓練に励んできた▼最近はインド洋にイージス艦を派遣するなど国際的な問題にも関与するようになり国民の理解も高まっているしこれが演習人気に繋がったと見たい。陸上自衛隊の演習には、一日に約三万人の観客が集まる。うち二万枚の入場券が一般の人々に向けたものながらこれに応募するのが三十万人にのぼるというほどの人気なのである▼振り返ってみると、日本の軍隊が解体を命じられ、自衛隊の前身である「警察予備隊」の創設が昭和二十五年の七月。これが二年後には「保安隊」となり、防衛庁が設置され陸海空自衛隊が生まれたのは昭和二十九年七月である。あれからほぼ半世紀を経てやっと自衛隊も国民に認知されはじめたのかもしれない。こうした世情を反映してか近ごろは、自衛隊を志望する若い人も増えているそうだ▼憲法や集団的自衛権など解決を急ぐべきは多いが、自衛隊の存在を認める世論が圧倒的に高くなっている事実にも目を向けたい。国民の安全を守るのは決して自衛隊だけではない。その底辺を支え力を奮う庶民の助けがなければ「安全」はありえないのだし、演習人気の根源もここにあると見たい。    (遯)

03/09/02