8月29日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】調査機関のSEADEとDIEESEは二十七日、大サンパウロ市圏の七月失業率が二カ月連続で減少していると発表した。統計によれば、失業率は六月の二〇・三%から、七月は一九・七%へ後退している。また平均勤労所得も過去三カ月上昇して六月は、九百十レアルに達し今年の最高額になったと、同機関は発表した。
永年勤続者の解雇旋風によって多くの上級技術者が、臨時雇用などで糊口(ここう)をしのいで細々と生計を立てていた。いま少しながら、また昔とったきねづかで古巣に帰りつつあるようだ。再雇用通知で喜ぶ光景が、そこここで起きているようだ。
失業率の二〇・三%から一九・七%への減少は、百九十三万四千人の失業者の中から五万九千人が運良く就職したことになる。失業者の減少は先月、キャンペーンを行った五万五千の雇用創出で救われたもの。四千人は独立して就職や解雇の煩わしさに見切りを付けた人たちとみられる。
DIEESEのメンドンサ理事は、巷間を失業者の群で埋めた冬の季節は終わったと宣言した。高金利と景気後退の暴風雨は去り、インフレによる所得目減りの悪夢から解放されたと述べた。これからの下半期は、前向きに雇用の増加に精進することだとしている。
基本金利引き下げの効果は二カ月で表れるし、低率インフレは消費者の購買力増加につながると、同理事はみている。給与のインフレ調整も行われるので、市場には年末までに活気がよみがえるとした。これまで景気の妨げとなっていたのは、過去十二カ月に八・一%となった所得の目減りと失業への懸念であった。
七月の新規雇用はサービス業だけで四万四千人、そのうち商店が三万三千人。六千人は、工事現場や家政婦。工業は現在までに、二万九千人を採用した。
米国向けモーターの組み立てなど大部分は、輸出産業の雇用であった。国内市場向け企業は景気が立ち直ったばかりだが、輸出が企業の低迷を救っている。
カンピナス市のロベルト・ボッシュは、米国向け車両用ブレーキ専門工場を拡張した。車両用バネのマシーザも、ダイムラー・ベンツを経て、米国向け大量注文を受注。車両部品メーカーのサックスやモグールも工員多数を募集中。
食品ではビスケットのマヴァレリオ社が今年年商四〇%増を期して、多数の工員を月給五百六十レアルで募集。応募者の列には子供を扶養する世帯主が多数、無力感と疎外感でさいなまれる失業生活に終止符を打ちたいと待機している。
そのほか俳優養成所が月給三百レアルで募集。スーパーのカルフールが、夜間勤務も含め週二十四時間労働を月給二百九十三レアルで募集している。