ブラジルの野球充実のために、(日本にいて)できることなら、何でもしてあげたい――心(しん)からこう願い、無言実行している人、鈴木康夫さん(千葉市在住)。ブラジルとの野球を通じての付き合いがもう二十二年余も続いている▼最初、審判員指導に来た。帰国後、事後指導を欠かさない。ルールがかわるたびに、何らかの形で伝達してくる。すべて自費だ。ブラジル野球関係者としては、お世話のなる一方に近い〃交流〃だ。審判員たちにとっては、父親のような存在。昨年二度目の訪伯▼さきに球連が新しい大会の企画したら、日程を記憶し、順調に消化されていると思います、と心配してきた。少年野球チームが訪日すれば、わが家に近い、と言い、会いに来る。関係機関へ表敬訪問したいといえば、あっせんしてくれる▼先月、十二歳クラスの世界大会に参加したチームが、甲子園大会の千葉県予選観戦を希望したところ、早速、千葉県高野連に交渉、少年たちに貴重な体験の機会を与えてくれた▼甲子園に山形県羽黒高校が初出場し、山口県の岩国高校に一回戦で敗れた。台風で二日間日程が延び、羽黒高校には不運だったと同情した。ブラジル出身のカルデーラ外野手が七回から二番手として登板、二回投げて二失点。同選手はチームだんとつの三安打を記録。鈴木さんは投球より打力がいいとみたようだ▼同試合の朝日新聞のコラムを球連関係者に送ってくるなど、細やかで濃やかな配慮を見せる。得難い人である。(神)
03/08/29