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工業生産 6月に底打ち=産業界に回復の兆し=金利引き下げ効果表れる=財務省にも順風が吹く

8月28日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】サンパウロ州工業連盟(FIESP)は二十六日、七月サンパウロ州の工業生産が底打ちして、五月から始まった生産低下に歯止めがかかったと発表した。FIESPは調査の結果、工業生産が八月から回復傾向に入るものと予測している。サンパウロ市証券取引所も二十六日、指数を二・七九%も上げ、二十六カ月ぶりの活況を示した。パロッシ財務相は、経済が回復の兆候を見せたものと評価した。

 基本金利の引き下げと年末商戦を見込んで、工業生産が回復の兆しを見せている。特に経済活動の寒暖計とされる段ボール包装資材のオルサ・グループは七月、前月比五%増の受注があったという。八月はさらに八%増と受注が右肩上がりで伸び、市場活況の感触があるとしている。
 基本金利の大幅引き下げは、市場に活気を呼び戻すことで心理的効果があったようだ。包装材の注文はメーカーや商店の在庫が低減し、新規注文で市場が動き始めたためとみられる。包装業界は昨年比全体では一五%落ち込み、今年中の全面回復は困難だが、回復の兆候が見えたことは、喜ばしいと歓迎している。
 FIESPは景気後退時、毎月の成長率低落が止まり、在庫調整も行われると底打ちとみなすと発表した。八月から産業界は、上昇気流に乗るとみている。まだ顕著な上昇と確答はできないが、折り返し点に入り徐々に回復、明るい見通しは確信しているとした。
 産業界の平均稼働率は、六月が今年最低の七八・五九%で、七月は七九%へ上げた。その中で景気のけん引車になったのは包装業界で稼働率が八八・一%、続いて化学薬品の八四・一%、繊維紡績の八三・五%であった。最低では家具調度の六九・二%、プラスチックの六九・七%であった。
 政策批判で四面楚歌の中にあったパロッシ財務相は、景気回復の兆しが水平線の彼方に見えたと安どの胸をなでおろした。景気停滞をもたらした厳しい経済政策は、ようやく回復指標を見い出したようだ。財務相によれば政府の目玉である低利小口与信の結果も、八月中に出てくるという。
 基本金利の大幅引き下げ効果を、末端の消費市場にも徹底させるとしている。銀行間のスプレッド(利ざや取引)取引の縮小を図り、資金を零細企業への融資に還元する暫定令は、大統領の署名待ちだ。
 財務省国際局のカヌート局長は、七月時点で過去十二カ月の貿易黒字が中国の二百八億ドルを超え二百十八億ドルに達したと発表した。この成果は年末までに、ブラジルの経済成長へ反映することで、重要な景気回復の兆しだと強調した。
 サンパウロ市証券取引所は二十六日、二十六カ月ぶりの活況を呈した。ルーラ政権の経済政策が選挙時に予想されていたのとは異なり、年金改革や税制改革が着々と議会で審議進行しており政治手腕を評価されたものとみられている。