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メーロ国連代表の死悼む=3日間の服喪宣言=国づくりの専門家失う=最後までイラクの平和願う

8月21日(木)

 【既報関連=エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】ルーラ大統領は十九日、イラクで爆弾テロの犠牲となったブラジル人国連代表のセルジオ・ヴィエイラ・デ・メーロ氏の死を悼んで、三日間の服喪を宣言した。国連のアナン事務総長は、同氏を生粋の有能な外交官と称賛し、一九六九年以来レバノン紛争に始まり、ボスニア戦争、ルアンダ内戦、東チモールの国づくりなど国際紛争の火消し役としての功績をたたえた。

(関連一面)

 メーロ国連特別代表に送られた言葉は、有能な外交官、多国語堪能者、生粋のネゴシエーターなど、世界の政治家からその死が惜しまれている。一九四八年リオデジャネイロに生まれ、仏ソルボンヌ大学で哲学を学んだ。国連の難民高等弁務官を振り出しに、バングラデシュ、スーダン、モザンビークなどの現場で経験を積んだ。
 メーロ国連代表はイラクへ現場指揮官として赴任以来、国連諸機関の治安が全く不備で危険極まりないことを、安全保障理事会へ訴えていた。国連本部から諸機関職員の警護体制に関する調査団が直ちに、爆弾テロの事前阻止ができなかった経緯捜査のために派遣された。
 また同代表は国連事務総長へあて、米政府は何よりも先にイラク人警察を組織し、その後必要な治安維持対策を講じることを要請した。それまで、国連の平和活動を中止するよう勧めた。国連本部ではメーロ国連代表の死により、イラク問題への国連活動に戸惑いが生じている。国連本部は、加盟百九十一カ国の国旗すべての半旗を掲げた。
 同代表は死の直前、次のような言葉を伝えた。イラク国民は敵視の感触はないが、これまでの任地で最も危険なところ。全ての国連職員は治安指導に基づき規律を守り、行動が極端に制限されている。テロの出所がどこか分からないので、解決の見通しも立たない状態だといった。
 イラク国民が、駐留軍を見る目と国連を見る目は異なる。自国内に外国軍戦車が陣取っているのを見るイラク人の気持ちは複雑だ。コパカバーナ海岸で外国軍戦車が、砲口を市民に向けているようなもの。
 イラク国内の治安維持は、イラク人自身が行うべきもの。外国軍が治安維持を行うのは、イラク人に不信感を与えるからその辺の事情を多国籍軍は理解すべきだと、同代表は主張した。
 ジルセウ官房長官は十九日、同代表が爆発直後にがれきの下敷きになったまま関係者へ携帯電話で連絡を入れていたことを明らかにした。同代表はテロ発生から数時間後に死亡したとみられるが、話の内容は明らかにされていない。