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海外被爆者にも健康管理手当=長崎市が9月から

8月14日(木)

 長崎市は九月から、海外に居住する被爆者にも健康管理手当を支給する方向で準備を進めている。ブラジル移住者には、個人の銀行口座に直接、振り込む予定。市は現在、対象者の住所確認を急いでいる。
 同市原爆被爆対策部援護課によると、手当の給付を受けるには被爆者手帳のほかに国が発行した証書が必要だ。
 ブラジル、アルゼンチン、ボリヴィアなど南米には、受給資格を持つ人が十数人いる。だが、その半数近くの連絡先が不明。同援護課は、在ブラジル原爆被爆者協会(森田隆会長)に協力を求めたという。
 手当は九七年十二月まで溯って支払われる。それ以前の給付について、国は地方自治法により時効にかかっているとの主張を崩していない。
 受給の対象からはずれる被爆者は、申請手続きのため一度、訪日しなければならない。援護課の担当者によると、国は居住国で可能になるよう検討中だという。
 森田会長は「本当に喜ばしいこと。長崎市に続いて、広島市も同様の措置を取ってくれるはずでしょう」と表情を緩める。
 在外被爆者に手当が支給されれば時効問題などを残して、協会の創立目的を一応、果たしたことになる。その後は、広島、長崎の四県、市が国の委託を受けて実施する巡回医師団の受け入れに軸足を移す考えだ。