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首都でデモ隊が暴徒化=下院の窓ガラス破壊=年金法の強行採決に抗議=立法府への実力行使を批判

8月8日(金)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙七日】首都ブラジリアの連邦下院で六日、繰り出した年金改革反対のデモ隊八万人が未明の強行採決に抗議して一部が暴徒化、正面入り口のガラス五十二枚を破壊、七人が負傷した。政府は、改革案の合意確認をしていない部分の追い込みで、手続きを急がせている。六日の公務員抗議デモは一カ月以上をかけて準備したもので、四時間にわたり平和裏に行われたが、終了間近で暴力に及んだ。

 年金改革反対デモを終了しようとしていた矢先、一部が下院入口へ乱入してガラスを壊した。議会はデモ組織委員会に、立法府への行動を重大視して二万レアルの損害賠償を請求するとしている。
 デモ隊は全国から参集、午前九時中央寺院前からエスプラナーダ宮を経て三権広場へ行進した。演説を行った後、余興やショーなど楽しい番組を終了、デモ行進は同じコースを戻った。
 帰還コースが議会わきに差しかかったとき、デモ隊の一部グループが鉄さくを壊し議会ドームの上に上った。軍警の制止でドームから降りたあと、暴力的になった。デモ隊は軍警の隊列を破って次々、議会正面へ迫り投石や足蹴りなどで、ガラスを破壊した。
 特に器物を破壊したのは、統一労働社会党(PSTU)のユニフォームを着た運動員や学生、シンパ青年らであった。議会には軍警千五百人が警戒のために配置されていたが、ガラス破損は防げなかった。デモを組織した各労組は、組合員の暴力関与を否定している。デモ隊の多くは、ブラジリア見物を兼ねてサンパウロ市などから旅費、食事つきで狩り出されてきたようだ。
 一方政府は、年金制度改革法案を二次投票で可決に持ち込むため不安な部分の合意取り付けに奔走している。連立与党内に予想以上の造反組がいたことと野党の援護射撃で辛うじて可決に至ったことで、番狂わせの不安はぬぐいきれない。引き続き定年者の負担金徴収や司法官の給与上限引き上げ、遺族年金の低減などが合意交渉の対象となっている。
 改革原案では社会保障院の支払い分が、十一億九千万レアルであったが譲歩修正したことで、十一億三千万に低減した。五%を節約して、六千万レアルを譲歩した計算だ。セッシン前社会保障相は、初年度の節約は六千万レアルであっても年々累進的に増加して十五年後は、年間二億レアルの節約になるという。
 ミナス州のネーヴェス知事は、年金改革の内容に不満を表明した。もう十一年したら再度、年金改革を行う必要があると述べた。今回の年金改革は国家財政を救うような画期的なものではなく、州にとっては気休め程度のものと評した。
 高等裁のナーヴェス裁判長は六日、年金改革の最終評価を下すのは司法府であると述べた。同氏は政府代表との話し合いでは口頭であったが、司法官の給与上限は最高裁判事の九〇・二五%であったとして、合意をほごにして八五・五%にしたと抗議した。補足年金の基金についても、無断変更があり不満を漏らした。