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誤解、偏見多い高齢者の性=健康維持が大前提=心身の変化の受け入れを

8月5日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙】「高齢者の間ではセックスの回数がそれほど多くないだろうと我々は考えるが、実際は驚くほど普通に行われていた」。これは米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで実施された調査報告書にあるコメントだ。八百五十人(うち六〇%は既婚者)を対象に最近実施されたブラジル人の性行動に関する調査によると、六十歳以上の健康な夫婦は平均週二回から三回、セックスを続けていることが判明した。

 「ご結婚なさっていますか、独身ですか、それとも未亡人ですか」。「二度結婚しました。二人目の夫がいい人でした。三人目の夫が欲しいのですが、現われたら現われたで重荷になるかもしれません。もしパートナーがいれば、ダンスホールや映画に行くでしょう」。「女友達とは行かないのですか」。「でもそれは男性と行くのとは違うでしょう? 会話したり、トランプしたりする相手が欲しいのです」。「セックスはどうですか」。「ときどきはね。セックスは年齢に関係なく、それは自然なことだから」。
 高齢を迎えた人がみんなディヴァ・ミュレールさん(七五)のように、静かにセックスについて話すわけではない。あらゆる方面からの多くの偏見が、高齢者はセックスをしないという神話を維持させている。
 性機能は決して終わりを迎えることがない。「私たちは性とともに生まれ、成長し、死ぬ」とサンパウロ市内の病院に勤務する婦人科医でセックスセラピストのサンタナ医師は話す。性機能は年月とともに変化するが、それは老化とはちがう。それは人間にとって本質的なものなのだ。
 しかし、男女ともまだ多くの偏見に直面している。「満足のいく性機能をもつ高齢の男性は変態という意味で『機能障害者』とまでみなされる」と同医師は述べた。
 年齢別の性行動の基準は存在しない。セックスから得る反応の質と深さは年とともに変化するが、人によって千差万別だ。セクシュアリティーは生物学的側面だけでなく、社会文化的、心理学的問題ともつながる。
 未亡人で年金生活者のヴィウマさん(七三)は「あらゆる意味ですばらしい」結婚生活を四十七年間夫とともに送った。新しいロマンスの可能性について尋ねると、目を閉じて「まだその気はない」と答える。
 一方、性交渉の意欲を失ったが何とか取り戻そうとする夫婦がいる。また強い意欲を持ちながら、伴侶のいない高齢者も多い。五十歳から六十五歳の未亡人や離婚した女性は「犬を連れずに森にいる」と中高年者専門の心理療法士、マリアさんは話す。彼女たちは最初にピルを使い、セックスをするよう刺激され、それを楽しむ先駆的世代の女性たちで、その気はあってもパートナーに不足している。「市場は小さい。つまり同世代の男性は結婚していたり、すでに亡くなっていたりするからです」とマリアさんは言う。
 男性の一番の悩みである性機能障害は相手女性に間違って解釈されやすい。五十年前に結婚した元技師(七〇)はこの問題に直面した。「二、三回失敗したので妻は私にけんかを売ってきた。他に女がいると思ったんだね。私の体に変化があったとは理解できなかった」。逆に、機能しないことで妻に対して申し訳ないと気を病む男性もいる。
 年老いてゆく体を許せない女性の苦しみもある。彼女たちの多くは再婚した男性や夫の前でさえ服を脱ぐ勇気を持てないのだ。どんなに困難でも「人は変わるということを受け入れなければならない」とサンタナ医師は話す。例えば美容に関して言うと、四十代を超えると女性が太るのは女性の体を守る自然の作用だという。
 様々な老化の兆候のうち、体の痛み、活力減退、物忘れの三つは性機能障害と関係があるとされている。だが、他の問題が発生しなければ普通の老化現象であるため、性機能を重視する必要はない。もし性生活を活発に送りたいなら、健康に注意し、高齢であることから利点を引き出すよう心がけなければならない。繰り返しになるが、セックスの要求は自然なことだ。