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〝どしゃ降り〟の中で―会議所・業種別部会長懇談会―=上=政府は景気刺激策を=食品業界まで不振に

8月5日(火)

 ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)に所属する約二百八十社全てが十一に分かれて参加する部会が一堂に集まって、過去半年間の業界動向と来期の展望を発表する、同会議所最大の行事「業種別部会長懇談会」が七月三十一日午後三時から開催され、約九十人が集まって熱心な議論が交された。

■更なる金利引下げと景気刺激策の必要性■

 大筋では、ルーラ政権は予想以上の安定を見せており、その方向性は正しいので、長い目でみれば経済は好転するが、現状は〃どしゃ降り〃とする部会が多かった。
 コンサルタント、金融部会を中心に全体に共通したトーンとしては、インフレ抑制のために基準金利を高めに維持する政府の政策に理解を示しつつも、景気高揚のためには更なる金利引下げに加え、積極的な景気刺激策が必要との意見が出された。「年末までに基準金利を二〇%ぐらいに下げれば、成長軌道に入るのでは」との指摘もあった。

■激増する対中輸出■

 貿易部会によれば、上期の貿易黒字は約百四億ドルで同期過去最大。原因は大幅な輸出増加で、前年同期比三一・七%増。
 輸出増を牽引したのは中国で、前年比二二六%増(二十一億六千万ドル)となり、一躍、第二位の輸出相手国になった。品目は大豆、鉄鉱石、鉄鋼関連製品が中心で、特に鉄鋼関連製品は前年同期比四九一・六%増(一億千八百万ドル)と劇的な伸びを記録した。この旺盛な鋼材需要は、外国企業による中国進出及び生産拡大、中国国内における大規模なインフラ整備が背景になっている。
 第一位は米国で八十一億ドル(前年比一八%増)、石油燃料が中心。

■食品業界まで低調に■

 繊維部会では「原料高、製品安」の状況にあり、唯一好調なのはファスナー業界で、下期も二割増収が見込まれている。
 中でも、すでに消費が落ち込んでいた比較的値の張る一般向け製品・家電などの業界などに加えて、長らく堅調を保ってきた食品部会までもが、「久々に暗い今期を迎えました」と発表した点に注目が集まった。
 以前は一週間分などまとめ買いする消費者が多かったので近郊の大型スーパーの売上がよかったが、可処分所得の減少に伴い、現在は今日明日必要な分だけ近所の小型・中型スーパーで買う消費者が増えている傾向が指摘された。食料品はデフレに入っており、三・五九%価格が下落している。
 現政権の目玉政策「フォーメ・ゼロ」(飢餓ゼロ)で食品業界が潤うとの見方もあったが、「全くの期待はずれ」だったそう。ただし、「有機食品は売れはじめている」そうで、通常食品の二割高程度なら需要は増えている。
 家電・通信機器・精密機械などの業界を代表する電気電子部会では、上期自己評価は「〃悪かった〃が7で、〃良かった〃が3という現状」と発表された。どこの社も合理化投資のみで、前向きな投資はほとんど見られない現状。大半の商品で二〇%程度の売上減に陥っている。ただし、携帯電話の生産は三~五割伸びており、主に北米への輸出されている。
 また最近の経済専門誌「エザメ」の調査でセンプ・東芝が電気・電子業界で一位の評価を得たこともつけ加えられた。総評としては「厳しい冬の業界。穏やかな長い春を待ちながらも、冬支度は忘れずに」とまとめられた。