8月2日(土)
【エポカ誌】世界中で大活躍中のチェリスト、ヨーヨー・マ(馬友友)がこのほど、ブラジル人作曲家の名曲を演奏したアルバム『オブリガード・ブラジル(直訳=ブラジル、ありがとう)』をリリースした。
ヨーヨーが奏でたブラジル音楽は、ヴィラ=ローボスやバーデン・パウエル、ピシンギーニャ、ジャコビ・ド・バンドリン、トン・ジョビン、エギベルト・ジスモンチなどの名曲ばかり。「ブラジル音楽はわたしにとって、理性と感情、意識と無意識の出会いを意味する魅力的な世界です」と説明する。
今回のアルバムでヨーヨーは、オスカル・カストロ=ネーヴェスやセルジオ&オダイル・アサジ兄弟などのブラジル音楽界の巨匠たちと共演している。バイア州出身の歌手ローザ・パッソスは、「シェーガ・デ・サウダーデ(直訳=恋しさはもうたくさん)」「オ・アモール・エン・パス(直訳=平和な愛)」を歌う。
エポカ誌のヨーヨー・マへのインタビューを一部掲載する。
エポカ誌(以後、E誌)=今回のアルバムを作ったきっかけは?
ヨーヨー・マ(以後、馬友友)=15年前、ブラジル人チェリストのアウド・パリゾッチに、リオの図書館にある数百枚ものヴィラ=ローボスの楽譜を弾こうと言われた。最近、オスカル・カストロ=ネーヴェスと共演し、ジョビンについて聞いた。その後、アサジ兄弟とも共演を約束した。このアルバムはそのすべてとの再会である。
E誌=ブラジル音楽には詳しいか?
馬友友=ブラジルについて何も知らなかった。ブラジルの勉強を始めてから、その豊かな文化にとりつかれた。複雑で、幾層にも入り組んでいて、さまざまな分野での研究ができる。多くの国が見習うべき文化だ。
E誌=ブラジルの音楽をどう思うか?
馬友友=ブラジル音楽は、世界で唯一、意識と無意識の間の線を奏でることができるものではないかと思う。例えば、人々の足を自然に動かしてしまうサンバや、人生の悲劇を描くショリーニョなどに表れている。複雑な文化の影響で、ブラジル音楽は驚くほど独創的なため、常に黄金時代の最中にある。
E誌=『オブリガード・ブラジル』の16曲はどのように選んだのか?
馬友友=正直に言うと、「どうやってブラジル音楽のCDを作るか」と長い間自分自身に問うていた。答えは当たり前のことで、「あまりにもジャンルが広すぎるのだから、これだと決め付けないで作るのが一番」だった。
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ヨーヨー・マ▼1955年10月7日、パリ生誕。両親は台湾人。アメリカ育ち。幼いころ頃から天才演奏家として才能を発揮する。