ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | MTST立ち退き令を撤回=サンパウロ市民事裁が判決=VW側に土地所有証明求め

MTST立ち退き令を撤回=サンパウロ市民事裁が判決=VW側に土地所有証明求め

7月30日(水)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十九日】サンパウロ市第一民事裁判所は二十八日、大サンパウロ市圏サンベルナルド・ド・カンポ市(SBC市)のフォルクスワーゲン(VW)所有地を十九日から占拠しているホームレス労働者運動(MTST)に出されていた強制立ち退き命令を一時的に取り下げた。同裁判所は、軍警側が「命令に従って、ホームレスたちを除去する準備はいつでもできている」と述べてから数時間後に、命令を撤回した。
 同裁判所第三法廷のロッケ・メスキッタ判事が同日午後六時、SBC市第四民事部のマリア・F・サントス判事の予審判決を取り消した。メスキッタ判事の命令撤回判決は十日以内に、高等裁判事らによって正当かどうか判断される。
 メスキッタ判事は、MTST側の「VWが同地の所有者であることを証明していない」という言い分を聞き入れた。「VW側が同地を活用していることを証明しない限り、占拠地は返還されない」と、MTST側のエリアーナ・L・フェレイラ弁護士は説明する。
 同弁護士はまた、第四民事部がサンパウロ州検察局の意見を聞かずに第一審判決を下したと指摘。さらに占拠地にいる子供約二千人の安全確保も考慮されなかったと批判している。同判事も、「強制立ち退きでけが人が出るなど重大な結果を招きかねない」としている。現在、占拠地でキャンプ生活しているホームレスは七千人に及ぶ。
 MTSTにとって、第一民事裁に訴えることは、強制立ち退き命令を覆す唯一の手段だった。命令が取り下げられる前、軍警は占拠者らを除去する作戦を練っており、二十九日に実行に移す予定だった。一方VW側は、第一民事裁の判決に対し、上訴することができる。
 二十八日には、VWの弁護士ら、MTST幹部、軍警代表、ブラジル弁護士会代表、労働者党(PT)国会議員代表の会議が開かれたが、合意には至らなかった。
 VW側はホームレスらに即刻立ち退くよう要求。「立ち退き後、同地をMTSTに売ってもよいが、圧力をかけられた状態での交渉には応じない」としている。一方ホームレス側は、交渉期間を延ばして欲しいと訴えた。同市代表は欠席。会議は平行線をたどったままだった。