7月23日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】家屋占拠運動(MSTC)のメンバー三千人が二十一日夜半、サンパウロ市中央部のビル四カ所に不法侵入した。
襲われたのはブリガデイロ・L・アントニオ通りの元ダヌビオ・ホテルとイピランガ通りの元テルミヌス・ホテル、マウア街とアウロラ街のビル。レゴ・フレイタス街のビルは、一足先に駆けつけた軍警の阻止により侵入未遂となった。
元ダヌビオ・ホテルは昨年八月、閉業して空きビルとなっていた。六百世帯が押し寄せ、大型ハンマーで錠前を破壊してビルを占拠した。異様な事態を察知して軍警が急行し侵入阻止を図ったが、幼児の泣き声や女たちの叫び声で大混乱している間に、錠前は破壊されグループは乱入した。
歌手カエターノ・ヴェローゾの「ソイ・ロコ・ポルチ・アメリカ」でお馴染みのダヌビオ・ホテルは、不法占拠の徒の巣となった。違法に電気を引き、ビル中に電灯が照らされている。
イピランガ通りのテルミヌス・ホテルも事情は似ている。ホテル入り口は板張りでふさぎ、五百世帯が占拠している。これまでネズミとゴキブリの住みかであったが、これから人間の住みかとなったと新入居者の一人はいう。夜のうちに家具を運び込み、すっかり定着している。
アウロラ街の占拠された九階ビルには、管理人がいた。四百家族に襲われ阻止のしようもなく、管理人は責任の重さと失職の恐れにおののいている。マウア街の売り出し中のアパート二百四十戸には、四百家族が侵入した。
MSTCリーダーのイバネテ・アラウジョ氏は、サンパウロ市中心部には長年にわたり家屋税(IPTU)を滞納しているビルが四百棟あるという。侵入は三カ月前から計画し、ビル所有者の資産状態も調査済みという。
MSTCは家屋侵入運動(UMM)と共闘で一九九九年にも一連のビル占拠を行ったが、今回は単独で侵入した。グループは占拠後、共同生活で賄っているが、食糧の買い出し資金をだれが援助しているのか不審とされている。