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新しいコロニア芸能が誕生=若者たちが熱狂=YOSAKOIソーラン大成功=「また来年!」

7月22日(火)

 「今日は本当にありがとうございました。また来年!」。飯島秀昭実行委員長の閉会を告げるわずか二言のあいさつに、大きな歓声と口笛と鳴り止まない拍手が響いたー。ブラジルYOSAKOIソーラン実行委員会は二十日、「第一回ブラジルYOSAKOIソーラン祭り」を開催し、合計五千人以上の観客を集め、予想を上回る大成功のうちに幕を閉じた。

 七月二十日、コロニアに新しい芸能が誕生した。文協講堂で行われた正午と午後五時の演舞の観客に、二千五百人以上が参加。午後三時からガルボン・ブエノ街でのパレードに三千人以上(推定)の観客が足を止めた。
 「すごいパンチだ。間違いなく移民百周年の目玉。リズム、動きがブラジル人のフィーリングに合う。桧舞台はリオにまで及ぶのではないか」。第一部を見終わった七〇代の戦後移民男性は、手放しで賛辞を贈った。
 正午からのオープニングで、琉球国祭り太鼓が行われた。その後、リベイロン・ピーレス日伯文化協会が「南中ソーラン」を披露。観客は、はじめてみた早いリズムと動きに拍手を送る。全十二チーム三百五十人が演舞をおこなった。
 「街は舞台だ」――。祭りは街に飛び出す。大阪橋手前からリベルダーデ広場にかけて道路上に特設スペースが作られた。午後三時からの上演に、道行く人は足を止め、パレードを見守った。「ブラジル人は、カルナヴァルのように人で込み合っているところが好き。この祭りはこれからも続いていくよ」。非日系のエジソンさん(二一)は興奮した面持ちで語った。
 再び会場を文協講堂に戻し、第二部。街頭パレードを見た観客が移動したのか、ユバ・バレエ、琉球国祭り太鼓、SOHOらが登場する際には大きな拍手が湧き上がり、舞台と客席が一体となった。 
 「三回も踊って疲れたー。でも、観客が多くて楽しかった」。ユバの踊り手がそうつぶやく。同バレエの指導者、小原明子さんは「最初は暗闇の中を漁師たちが登場する動きを、途中は漁師の勇ましさ、北海道の荒波の動きを表現した」と開設する。日々のバレエ練習の積み重ねと、最後十日間の特訓が、下半身全体を使ったユバ独特の踊りを可能にした。
 「私のような年寄りでもやってみたいと思った」とは北海道出身の九十歳の一世女性。「来年は県人会でチームを作り参加したい」と二十九歳日系三世の男性。YOSAKOIは比較的単純な動きの連続。その集合体が感動を生む。母親が中心の平成学院大人の部は、それを実証した好例だった。
 北海道日伯協会の島崎允也専務理事は「カルナヴァルの踊りにストーリーがあるように、YOSAKOIにも物語がある。そのことを意識させることが重要」と指摘した。
 ガルボン・ブエノ街と文協講堂に、いつになく大きな若者たちの歓声が響いた。「移民百周年に向けて続けていかなければ―」。日系二世男性がつぶやいた一言がずしりと響いた。