作家内田百聞が煙草を知ったのはまだ稚児のころ。祖母の手ほどきによったそうだ。
先週訃報が届いたキューバの世界的なギター奏者コンパイ・セグンドも、五歳で祖母から葉巻を覚えた。昨今はその有害面ばかり強調される煙草だが、教えた祖母は百十六歳まで、彼自身は九十五歳まで生きた。
百聞いわく、「煙草も酒も人生のゆとり。飲まないなんて、一歩も後に退がる余地のない崖っぷちたっているような危険な状態です」。一方のコンパイは「花と女性とロマンスこそが人生」と、紫煙をくゆらせた。
今年、ブラジルからの煙草葉の輸出量が世界一になった。巷間には煙ったい広告も増えたが、珈琲豆、オレンジジュースに続く”世界一”を記念して、バイーア産の逸品などを試飲してみるのもまた人生のゆとり。(大)
03/07/22