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英国に芸術会場を建設=建築のピカソ ニーマイヤー氏

7月19日(土)

  【ヴェージャ誌】1970年代に、故ダイアナ妃が住んでいたロンドンのケンシントン・ガーデンに創設された「サーペンティン」は、イギリスで最も有名な現代美術ギャラリー。毎年、夏の展示会の開催会場となる臨時パビリオンを建設するために、世界的に実力が認められている建築家に依頼する。今年、その役目を依頼されたのは、ブラジル人建築家のオスカー・ニーマイヤー氏。通常新人建築家を選ぶサーペンテリンは、なぜ95歳のベテラン建築家を招待したのだろうか。
 同ギャラリーのジュリア・パイトン=ジョーンズ氏は、「彼は建築のピカソだからよ」と説明する。ロンドンの新聞も、ニーマイヤー氏に対する称賛を惜しまない。「彼は現在でも活発に活動している。その独創性は若い建築家を辱めるほどである」と。
 過去3年間に、ニーマイヤー氏の数多くの作品を紹介する大規模な展示会が世界中を回っている。すでにブエノスアイレス、リスボン、パリ、フランクフルトなどで開かれ、年末にはコペンハーゲン、オスロ、マドリッドでも開催される。
 本名、オスカル・リベイロ・デ・アウメイダ・デ・ニエメイエル(現地発音。ニーマイヤーのこと)・ソアーレス。1907年、リオデジャネイロに生まれる。モダン建築の父、Le Corbusierの元で建築技術を学んだ。二人は40年代、リオの教育省ビルを建築した。
 50年代に入ってニーマイヤー氏は、プラナウト宮や国会ビル、カテドラルなどブラジリアの主な建造物のプロジェクトを担当。これによって、同氏の世界への扉が開いた。
 同氏はその後、ニューヨークの国連本部ビルの建設スタッフの1人として活躍。軍政時代には国外へ亡命し、フランスやアルジェリア、イタリアで作品を残した。
 70年代は実用的な建築物を重視する傾向が強くなり、ニーマイヤー氏の作品に対する風当たりはひょう変した。国際的に著名な建築家たちの間で、「彫刻のようで実用性がない」との批判が多く出た。
 だが90年代に入って、同氏の作品は見直され、その形や美しさ、予想もつかない独創性が再び高く評価された。そして21世紀初めの現在、ニーマイヤー氏が再び、有力な建築家の一人として注目を集めている。
 パビリオンは、同氏が好むコンクリートではなく、分解して他所へ運べるよう、鉄筋で建設された。「イギリス人に自分の作品を知ってもらう良い機会だと思う。小さな作品ではあるが、地面から浮いているという点で、わたしが求める意表をつく作品であると言える」と、ニーマイヤー氏は語る。同氏は飛行機に乗るのが怖いことで知られ、パビリオン建設後もその結果をじかに見ることはないという。

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