7月18日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十七日】パラナ州クリチーバ郊外のカンピナ・グランデ・ド・スール市の
アンジェリーナ・カロン病院で十四日、ブラジルで初めて生体間の膵臓(すいぞう)移植手術を八時間にわたり行った。
患者の主婦ジェウシ・トレンチンさん(四九)は、十七歳のときから糖尿病を患い、後遺症の視力低下が始まっていた。毎週昏睡状態に陥り、死の危険が迫っていた。臓器提供を決心したのは実娘で教師のテウマ・トレンチンさん(二七)で、膵臓の一部分を切除した。
病院の報告によれば、これまでの生体間の膵臓移植は世界で百三十例あり、どれも米国で行われた。執刀に立ち会った七人の医師団の主任ジョアン・E・ニコルッチ医師(三四)は、フランスで習得し米国で臨床研修をした。
患者と臓器提供者の遺伝的相性の合致が条件で、しかも患者が危急な状態にある場合に限っていると同医師は述べ、誰でも希望であれば対応するわけではないと安易な考えを戒めた。
病院側は手術実施について二カ月間、協議して決定した。患者と提供者二人には、手術の経過責任についての同意書にサインさせた。両者は十九日、退院予定となっている。患者は自宅で引き続き、拒絶反応の抑制剤六錠を毎日飲用する。
従来の臓器移植は、仮死状態の提供者から臓器を切除していた。ブラジルでは、この方法で年間二百五十件の移植手術を行っている。