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米のブラジル人社長 企業家を激励=世界で堂々渡り合へ=GDP三兆ドルを提唱

7月17日(木)

 【ベージャ誌】日産のカルロス・ゴーン社長に続いて世界最大のアルミ・メーカーのアルコア社(本社=米国)トップに就任したモロッコ系ブラジル人社長、アラン・ベウダ氏は、「ブラジル人には顔がない。誰とでも張り合い競い堂々とわたり合う商魂が、ブラジル人に必要だ」と外国から見たブラジルに辛口の忠告をした。

 次は同氏の忌憚(きたん)ないブラジル人へのメッセージだ。米式考え方から見て、ブラジル手法は下手だ。例えばイラク戦争で示したブラジルの態度は、おおむね無意味なのだ。米国もEUも褒めないし、ブラジル外交は足踏みをしている。
 米政府の外交諮問委員を二年間務めて思うに、ルーラ大統領は同盟国として黙って米大統領と抱擁すべきだった。両国は大豆や鶏肉で商売敵だが、それを超越して手を握るべきだ。それが同盟国というもの。
 手法として、まず机に座り両国の間にある障害物の除去法を考える。農産物ではEUのほうが、米国より障壁が高い。ブラジルは「対EUで共同戦線を張り、その後で我々同士の問題を検討する」と提言するべきだ。ブラジルの態度は、同盟国のやり方ではない。
 ブラジルは、中国に匹敵する潜在能力のある大国なのだ。しかし、やることが中途半端。拙劣な方法で時間つぶしをしないこと。まだ独裁国家の中国にない民法も商法も完備したブラジルは、資本主義先進国の利点を生かした外交戦略を考えるべきだ。
 ブラジルは早くから多国籍企業を迎え、組織化にも秀でて教育設備も完備している。ないのは国際舞台に立って挑戦する意欲だ。米州自由貿易地域(FTAA)構想の門戸が開かれつつあるが、そこでブラジルの歩みが止まっている。
 現在約一兆レアルの国内総生産(GDP)がある。それを、三兆レアルに引き上げるために挑戦すべきだ。そのために全ブラジル人の知恵を結集する。それ以外はどうでも良い。胡錦涛主席がいうのに中国では、米国の英語人口より多い二億五千万人が英語の特訓中という。やがて企業戦士として世界へ散って行く。
 このファイトが、ブラジル人にも欲しい。米系企業は生産、経理、企画、販売促進など従来、米国内で行っていた作業を海外の下請け企業へ委託する。その第一条件が英語が流ちょうに話せる人材が豊富で、人件費が安いこと。条件を満たせばブラジルにも、当然委託する。失業も緩和する。
 オラクル社はコンピューター・サービスを業務とする会社。同社は十二時間をオーストラリアに、後の十二時間をアイルランドに業務委託をし、二十四時間営業のサービス企業だ。同社の重役陣は米本国にいて管理職はインドで奮闘している。インドの管理職の給料は、米国の五分の一だ。  FHC政権は素晴らしい政治を行ったが、残念なことに十年後、二十年後のヴィジョンがないこと。ブラジルでは半ダースの銀行が、流通量のほとんどを握っている。その資金を政府へ貸し付けて、利益を得ている。産業振興には回さない。
 これは銀行が悪いのではなく、このようなシステムを構築した政府が悪い。高金利政策を批判するが、これだけの金利を政府が払うのだ。銀行はリスクを犯して企業に貸すより政府に貸しておけば、後は昼寝していてももうかる仕組み。産業振興抜きの金利政策だ。