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コロニア語研究=本調査が22日から開始=アリアンサと福博村で

7月12日(土)

 【既報関連】コロニア語の実態明らかにしたい――。九十五年の歴史を誇るブラジル日系社会での「コロニア語」の特徴や変移を把握しようと、大阪大学大学院が企画した調査研究プロジェクトが二十二日から本格的に動き出す。日伯両国の研究者ら十一人がアリアンサ移住地とスザノ福博村を対象に共同調査を実施。現地に在住する一世から三世までの日系人から聞き取りの形式で進める予定だ。
 「ブラジル日系社会の言語に関する総合的研究及び『コロニア語』記録・保存事業」と名付けられた今回のプロジェクトは、同大学院が実施する「インターフェイスの人文学」に基づく研究の一環。日本側では工藤眞由美同大教授が、ブラジル側ではエルザ・土井カンピーナス州立大学教授がそれぞれ代表を務める。また、サンパウロ大学からもソニア二宮、レイコ・松原、森幸一各氏も参加。ポルトガル語に日本各地の方言を交えて創造されてきた日系人ならではのコロニア語を、言語学的に解明するのが主目的となる。
 すでに今年四月から五月にかけて、予備調査を実施済みで、文献収集や現地での言語生活はデータ化されている。
 二十二日からアリアンサ移住地で、二十八日からスザノ福博村で予定されている調査では、それぞれ四十人の日系人を対象に、研究者らとの間で交わされた会話を記録する。
 研究成果は今年度末までにまとめられる予定で、土井教授は「前回の調査を分析した結果、日系人の言語についての仮説も出てきているが、より大切なのは実際に話されているコロニア語の保存と記録です」と理解を呼び掛けている。