日本の政局は「秋」へと動き始めた。九月には自民党の総裁選挙があるし、衆議院の解散も濃厚になっているのだから政治家ならずとも安心立命とは縁遠い。東京の石原慎太郎知事は早々と「小泉で決まり」のご託宣ながら自民党が小泉丸の一本化で纏まっているわけではない。反対派には野中広務元幹事長や亀井静香前政調会長らの大物がいるし、大勲位・中曽根氏の動きも気になる▼郵政事業や道路公団の民営化を政治信念としている小泉首相ながら自民党には郵政族や道路族が一杯いる。経済政策を巡っての対立ももはや沸点に達しており首相に反対する勢力は侮れない。道路公団に至っては、藤井総裁が民営化を阻もうと改革派の職員を差別人事で田舎への転勤を決めてOBをも巻き込んでの紛争になっているなどー小泉政権の「改革路線」は必ずしも順風満帆とは申し兼ねる▼田中眞紀子さんから「変人」呼ばわりされた首相が好むトップ・ダウン方式も波風を起こさせる大きな要因らしい。下から段々と積み上るのを重んじるボトム・アップに慣れ親しんでいる自民党議員には上からの押し付けに反発する空気も強い。とは言っても、小泉首相に対する国民的な人気は五〇%近くもあって高い。このもてもてぶりを完全に無視とはいかないしー反対派の旗振り役も難しいところだ▼これに「解散」となれば、もう戦場である。小泉首相としては、総裁戦を勝ち抜いて総選挙へと繋げたいの戦略らしいけれども、これを反対派が素直に呑むかどうかーも政界の見所の一つなのだが、さてー。 (遯)
03/07/12