7月11日(金)
ブラジル日系社会をテーマにしたNHK番組の制作発表が相次ぐ。二〇〇五年秋放映予定のドラマで、移民史が描かれると報じられたのもつかの間、今度は同局の名物ドラマ「中学生日記」の撮影班が十四日来伯し、デカセギ帰国子弟の取材に当たるという。収録は二十七日まで続き、ドラマで先生役を務める俳優で歌手の竹本孝之さんが、日本から帰国した十四歳から十七歳までの子供たちを訪ねて回る。番組は九月六日午後七時二十五分から教育テレビで放映される見通しだ。
収録される番組はドラマ「中学生日記」の特別編。毎年一回、世界各国の中学生の様子を紹介しているシリーズ「心の旅」のひとつとなる。
NHK名古屋放送局の若井俊一郎ディレクターは、「日本の学校で学んだ子供たちがブラジルに戻ってどのような生活を送っているのか。日本の中学生が『日本人とは何か』を考えるきっかけにしたい」と企画の狙いを話す。取材では帰国子弟の家庭や日系学校を訪ねるほか、識者や親世代の意見も取り上げる。
約三十分に渡る番組の進行役は、本紙エッセイ『桜の国のこどもたち』の筆者でもおなじみの竹本さんが担う。エッセイではドラマを通して交流する現代っ子の心情や、彼らを取り巻く時代状況などをつづってきた。紙面に登場してもう二年になる。
「念願のブラジルの地を自らの足で踏めることになった。わずかでもみなさんの生きる国を感じることができれば」と竹本さん。「街角で見かけることがありましたら、気軽に声をかけて下さい」
若井ディレクターの報告によれば、取材日程には戦後移住五十周年式典、フェスチバル・ド・ジャポン、リベルダーデの七夕祭りの撮影も含まれている。
戦後移住五十周年記念ソング『Sou japonesa』を歌う歌手の井上祐見さんと竹本さんは旧知の仲。「仕事で出会い、親しい交流のある良き先輩」とは井上さんだ。
式典のカクテル・パーティーで二人は、竹本さんが作曲し、井上さんが歌詞を付けた『今、母へ…』を披露する。伴奏ギターを竹本さんが弾くのも話題だ。
竹本さんは一九六五年生まれ。長崎県北九州市出身。一九八一年にアイドル歌手としてデビュー。最近は俳優としても活躍の場を広げている。