7月8日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】IBOPEは五日、政権就任して丸六カ月を迎えたルーラ大統領は、焦燥の色を見せ始めたと世論調査の結果を発表した。農地占拠運動(MST)代表との友好的会見が地主連合を刺激して地方部に緊張を生み出し、追い打ちを駆けるように国家公務員スト、そのほかの不満がいっぺんに吹き出した。
同調査は、大統領支持率が五月の七五%から六月七〇%へ下がり、さらに下降傾向を強めていると予測をしている。
グシケン広報局長官とジルセウ官房長官は閣僚らに直接裁決を指示し、大統領へは成果報告のみとし陳情は差し止めた。六カ月間の行政のしわ寄せが、ここへきて表面化したようだ。
MSTや公務員ストのほかに、旧パラナ州立銀行の不正送金コネクションに対する議会調査委員会(CPI)の設置やMSTの実態解明、地主連合対MSTの緊張が、年金改革の議会運営を妨げている。
また大統領側近は、閣僚らが責任過重で省庁が空転しているとみている。特に農地改革省は、その一例だ。大統領はローセット農地改革相を器量不足とみて、官房長官と総務長官を応援に充てた。しかし満足な結果は、まだ見えない。
政権の一局集中から大統領を解放することで、側近らは結論に至ったようだ。これまで大統領自ら農地占拠問題に乗り出し、公務員ストの交渉に立ち会い、インフレ抑制に努め、経済政策も定まらないのに貧困層問題に立ち入ろうとした。
ルーラ政治の特徴は、型破りの破天荒な手法であった。典型的例は、MST代表を大統領府の大奥ともいうべき大統領執務室へ、親友のように招待したことだ。地方では略奪、不法侵入、焼き打ちなどの不法行為を行うMSTをPT創立以来の同志であるかのようにねぎらった。
大統領手ずからビスケットを授け膝を折ってボールを受けMSTの帽子を被ったTV報道は、多くの国民の神経を逆なでした。この大統領のもてなしは、高価な代償を払うとみられる。政府の平和的な農地改革宣言は、空論となった。大統領自身によってたき付けられた燎原の火は、消し止めるのに一苦労すると思われている。