7月3日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】PT(労働者党)所属の上議は一日、同党所属のエロイザ・エレーナ上議を党委員から解任することを決定した。決議は賛成八票、反対四票で表決された。これからPTの全委員会へ同上議の出席を阻止し、同上議がPTを代弁することも禁じるという。同上議は処分を不服としてPT執行部へ直訴すると述べた。またスプリシ上議はこの処置に抗議して、PT上議連盟から脱退を表明した。
エロイザ・エレーナ上議解任は、同上議除名への布石といえそうだ。同上議はPT上議連盟の処置が、党倫理を無視し卑劣な手段に訴えるものだと非難した。PT上議は、サーカス団員で道化役者だと批判した。
PTリーダーのチアン・ヴィアナ上議は、同上議の処分は党決議に服さない他の過激派議員も含めて党執行部に一任すると述べた。党執行部の決定は、九月に結論を出す。エレーナ上議は、上院倫理委員を含めて四委員会の重責を務める議員とされている。
ヴィアナ上議は、除名が目的ではなく党決議に同上議が服することだとしている。党執行部が復任を命ずれば同上議との修復はやぶさかではないが、説得は困難と述懐している。
PT議員らの間では、同上議が小農の営農資金融資や農作物保険、たばこ企業のスポーツ・スポンサーなどで党決議に反して反対票を投じ、結束を乱しPT議員から敬遠されていたという。また党の地方委員会でも政府批判を行い、規律を乱したと抗議があった。
反対四票を投じたのは、当のエレーナ上議の他、スプリシ上議とアナ・J・カレパ上議、セリス・スレサレンコ上議であった。スプリシ上議は党決議が出るまで、PT上議連盟から脱退するとして同上議を擁護することを表明した。
事態収拾にむけてメルカダンテ上議は二日、党執行部と会合する。メルカダンテ上議は同上議について党執行部と再々やりとりがあり、今回の処置は堪忍の緒を切ったものという。PTの上議十四人はPT政権の発足以来、エレーナ上議に振り回され議事進行がままならずイライラしていたと不満を述べた。
同決議が行われたPT上議委員会に、ルーラ大統領の書籍出版報告のためにジルセウ官房長官が訪れた。一同は決議に関する官房長官の意見を求めたが、固く口を閉ざし一切のコメントを避けた。PT内でエレーナ上議は、ジルセウ官房長官に拮抗する唯一人の論敵とみられている。
一方PT下議のエレーナ派は、同上議擁護のために動き出した。上院のPT決議は唯一の思想に統一する独裁主義の手法だという。同上議の解任決議の背後には、糸を操った者がいるとみている。なぜ反対票を投じた四上議全員を排斥せず、同上議だけを生け贄にするかという抗議だ。
「PTは政党であって、徒党ではない。利害得失で党決議に従う柔順な羊ではなく、理念があって然るべきだ」と同上議は訴えた。