ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

ルーラ大統領 経済成長、7月から本格化=後半戦開始を約束=年金改革は痛い〃予防注射〃=公平な社会へ地ならし

6月28日(土)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十七日】ルーラ大統領は二十六日、ブラジル経済は七月から折り返し点に入り、右肩上がりの経済成長を国民は観覧すると宣言した。ABC金属労組大会に出席した大統領は、これまでできなかったことが、これから始まると公約した。サンパウロ州工連(FIESP)のピーバ会長は「産業経済は国家財政に先立つ。すでにリセッション(景気後退)が戸口に足を踏み入れている」と述べた。

 サンベルナルド市で開催された金属労組大会で、ルーラ大統領は七月からブラジル経済の目覚ましい成長を拝観できると約束した。インフレは四〇%から五・五%へ収縮し、輸出するのに融資する資金がなく、ないないづくしで始まった政権はいまや全て平常に復しつつあると述べた。
 国際金融で信用丸つぶれだったブラジルを、たった五カ月で立ちあげたことは有能な政府スタッフの努力のおかげ。労組代表でも国家の最高責任者に上り詰め、政権を取得できることを証明した初穂だと語った。次に年金改革の遂行は、国家存亡の問題と宣言した。そのとき大会参加者の中から野次が飛び、ば声が浴びせられた。 
 大統領は労組員は全員、抗生物質ベネゼタシルの予防注射を受けたはずだとけん責した。これは痛くても効き目があった。年金改革は、ブラジルが必要としている予防注射だと訴えた。 この改革は下級労働者には、何ら影響を及ぼさない。年金改革の痛みが染みるのは、よく肥えた公務員たちだ。それは、不公平な社会制度を公平な制度に改革するための陣痛だ。年金三万レアルを貰って国家を食いつぶす特権階級へのはなむけだと通告した。
 大統領は一九七五年四月、偶然に金属労組のリーダーを引き受け留置所通いをした時と較べたら、大統領職は遊びだという。数多の死線を越えたことで百戦の闘将となり、理知や思考がさえるに及んだと述べた。六十日ストに及んだ一九七九年、組合員は無給で家計に極度の疲弊をきたし独断で会社側と合意をした。組合員の猛反対とあらゆるば声を大統領は一人で浴びて、ストを終了させた。
 リーダーシップも政治も信用に基づく心意気であって、紙切れ一枚の取り決めではないと説明。政治はテレパシーによって行うもの、恋人同士のやりとりのようなもの。結婚する前は、海の別荘や新車を購入する約束をする。結婚すると忘れたようなそぶりをする。しかし新婚夫婦は、現実を理解している。嘘をいったわけではないし、だましたのでもないと諭した。
 大統領は年金改革や公約履行の困難なことを暗示して、「むちのない愛は偽善」というキリストの言葉を引用した。大会終了後、金属労組時代の新聞記者が「昔は〃毛虫野郎〃と呼んだが、今は〃大統領閣下〃と呼ぶ」と一同を苦笑させた。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button