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コラム 樹海


 国内産の鶏肉がブラジルの養鶏場で育成されたものだったり中国から輸入したホウレン草には人体に有害な農薬がびっしりと日本の食べ物はかなり危険でややこしい。牛の肉での騒動もあるし、韓国か中国から取り寄せたアサリを日本産として売りさばく悪質な業者もいる。日本人が大好きなウナギも台湾で養殖されたものが多いのに「天然鰻」と称したりも▼コメは新潟県魚沼郡という田圃で生産された「コシヒカリ」が日本一の評判が高いそうだ。これにも偽物が横行し都会人の舌を楽しませ胃袋を満杯にしているらしい。日本の食糧自給率は極めて低い。既に七〇%近くが輸入した食べ物なのである。ブラジルから帰った移民が夢にまで描いた「天麩羅蕎麦」を食べて口福を堪能したのはいいが、本当の日本産は陶器の丼だけと聞いてびっくり仰天の話は余りにも有名だ▼蕎麦は中国。海老は東南アジア。醤油の大豆はブラジル。塩はメキシコ。砂糖はキューバ。油の原料も小麦粉も外国製品。今や若い人々に受けているラーメンだって薬味のネギやコショウに至るまでが海の彼方からやって来たものと知ればいかな珍味にもー果てと首を傾げるてしまうに違いない。こんな事実を知りながらの「グルメ」では物笑いではないか▼とは言えー「食通」の意欲は高まるばかり。山形のサクランボ窃盗の背景にも、こんな「グルメ」世相が浮き沈みする。あの小さな紅色の過日がいかに多くの子らの夢を膨らませ楽しませたことか。それをも踏み躙る無粋な盗っ人もいるものよ。  (遯)

03/06/24