6月21日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十日】国内市場の育成と消費拡大のため政府は十八日、金利引き下げを目的とした金融緩和政策を打ち出すと発表した。その一つは一般銀行が預金の六〇%を中央銀行に供託しているのを、部分免除し所得の増加と消費の増進を図るというもの。一般銀行は供託金の一部を、一般市民へ低利の貸し付けに回すことになった。中銀は、市中銀行の法外に高い金利に歯止めをかける狙いだ。
通貨審議会(COPOM)の基本金利(SELIC)引き下げに続き、政府は七月第一週までに低所得者向け消費欲増進のための低金利ローンを含む金融緩和政策を発表する。
金融緩和は、四方針からなっている。第一は中央銀行が市中銀行の供託率を変更し供託金の一部を免除する。第二は信用組合の拡張、政府指定の低金利による小口融資だ。第三はブラジル銀行とCX・エコノミカがスプレッド(金利差)を縮小し金利引き下げを図る。第四は両行がNGO(非政府団体)や提携銀行、スーパー、薬局ネットなどから資金を調達する。両行は低金利ローンを率先して、民間銀行の高金利システムを封じる。
大統領は来週にも、信用組合の制約を解除し、自由業者信用組合や企業信用組合などが活動できることを発表する予定。これからは銀行員でなくても職業に関わりなく、自由に銀行員信用組合に加入し預金や融資申請ができる。
市中銀行は、供託金を免除された資金を低利の小口金融にのみ運用が許される。政府系二行は低所得層との交流がなかったことで低利の率先案に難色を示したが、大統領命令で強制された。さらに提携銀行やスーパー、チェーンなどから資金を調達し、低所得層へのローンを義務づけた。
COPOMの〇・五%基本金利引き下げは、実際の効果は僅少で消費者レベルでは、ほとんど影響がない。政府は、これまで民間銀行が徴収した金利差益を押さえるのが目的だ。
市中銀行が四月現在で、中銀に供託しているのは千二百四十億レアル、全預金二千百四十六億レアルの半分以上を中銀が握っている。そのうちの三百二十億レアルは無利子で押さえている。市中銀行はそれをカバーするために、世界一法外な高金利を取っていた。
フルラン産業開発相は十九日、ワシントンでルーラ政権は在任中に基本金利を五本指で数えられる程度に引き下げると述べた。インフレが完全抑圧されたことが判明すれば、近日中に金利は確実に引き下げる。
十八日の基本金利〇・五%引き下げは、政治的配慮に欠けるが心理的効果は大きいと評価した。ブラジルの金融システムのネックは、金融企業がSELICの上に法外な金利差を乗せることと指摘した。ブラジルとメキシコは全てで条件が近似しているのに、金融システムは余りにも異なり過ぎると、産業相が批判した。