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《イビラプエラ公園》=子供らの歌声響く=「日本人の血を誇りに」

6月19日(木)

 「おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう」「日本人の血を誇りに思います」――。イビラプエラ公園内の開拓先没者慰霊碑前でブラジル日本都道府県人会連合会が主催した慰霊祭は、昨年に続き日本語教育を受ける児童らが多数参加。来場者の前でコーラスや楽器演奏などを披露し、先人への敬意や祖父母らへの思慕の念を披露した。
 午前九時からの式典に先立って、鐵砲洲稲荷神社の中川正光宮司らによる慰霊祭奉仕参拝が行われた。笠戸丸によるブラジル移民が始まった一九〇八年生まれの中川宮司は九十五歳という年齢を感じさせない、張りのある声で昇神の儀などを行った。また、「浦安の舞」では松田真さんが、鈴を手に華麗な舞を披露した。山口県出身の松田さんは「祖母の弟がブラジルに移住していたこともあり、希望して来伯しました。大変光栄です」と話していた。
 ブラジル国旗の黄色と緑、日本国旗の赤と白をそれぞれあしらったテントが設置された会場には中沢宏一会長を始め、赤阪清隆総領事や和井武一援協会長、上原幸啓文協会長ら多数の来賓に加え、各県人会長ら約百人が来場。また、コーラスなどにはカンガルー学園やアルモニア、大志万学園などから百五十人近い子供たちが集まった。
 「亡くなったおじいちゃん、おばあちゃんを偲んで歌います」と声を揃えて挨拶したカンガルー学園の園児のコーラスに始まり、各団体が歌や縦笛で慰霊祭に花を添えた。特にアルモニアの児童たちは奉納太鼓「彩(いろどり)」で、リズム感よく太鼓の音を公園内に響かせた。
 主催者を代表して挨拶した中沢会長は「昨年と同様に、子供たちが日系社会の先輩方に敬意を示すいい機会になった」などと世代を超えた慰霊祭の意義を説いた。経済協力開発機構(OECD)への栄転が決まっている赤阪総領事は、今年の慰霊祭が総領事として出席する最後となることに触れた上で「日系社会の繁栄ぶりを日本に伝えるためにも五年後の百周年は重要」などと日系社会が一丸となって百周年の記念事業を迎える必要性があると強調した。
 先没者を記した各県ごとの過去帳が祭壇に祭られ、読経が響く中来場者らは花を手に焼香。先人の労をねぎらうと共に、今後の日系社会の発展を誓っていた。