■企画
6月18日(水)
「移民が新たな外国人を日本に作りだしただけなら、余りにも残念だ」。先日開かれた戦後移住五十周年記念委員会による講演会で、新宿日本語学校長の江副隆秀氏は、デカセギによる犯罪の深刻さを送り出した日系社会全体で受けとめる必要性を訴えた。
今や国籍別検挙件数で中国に次ぐワースト二を占めるブラジル人。従来あった自動車窃盗や自販機荒らしから、最近では強盗など凶悪化を見せる傾向にある。
今回の連続郵便局強盗事件でも、日系ブラジル人計七人が逮捕、指名手配された。ブラジルでの通貨価値を考えれば、被害総額の計三千万円は大金だ。
刹那的な犯行でなく、地域に定住するデカセギならではの土地勘を生かした手口や、容疑者の大半が前科を持つことなどが悪質さを際だたせる。また、奪った金をいち早くブラジルに送金し、ブラジルで不動産を購入した容疑者もいるとの話だ。彼らに父祖の国で犯罪に走る罪悪感は存在しない。
十八日は移民の日――。先人の苦労に思いを馳せるのも重要だが、同時に日系社会が産み落とした時代の「鬼子」についても真剣に向かい合ってもいいのではないか。 (記)