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年金改革反対デモを敢行=過激派が実力行使=ルーラ政権にゆさぶり=国家公務員3万人が参加

6月13日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】首都ブラジリアで国家公務員三万人が十一日、年金改革に反対するこれまで最大の反政府デモを敢行した。〃裏切り者ルーラ〃などの横断幕を掲げ、プラナルト宮へ行進。デモ参加者はPT執行部やCUT幹部をば倒し、缶ビールを投げ付けるなどした。PT過激派の議員二十六人が、ついに実力行使に出た。党幹部はPT閣僚を招いて、年金改革に関する政府と党の疎通を図るべく協議した。

 ルーラ政権にとって初めての本格的試練が、やってきた。デモ行進の群は、中央礼拝堂カテドラルから大統領府のプラナウト宮まで国会周辺の芝生をも踏み付け約二キロメートルを埋めつくした。デモ参加者は、口々にPT執行部や統一中央労組(CUT)幹部をば倒した。大統領はアルボラーダ宮に詰めて、様子をうかがっていた。
 デモはPT下議二十六人と上議一人、CUT傍系の労組が指導したことで、PT過激派が実力行使に出て、対決を試みたとみられる。抗議集会に応じたPT議員らは、デモ隊によってつるしあげに遭った。ペレグリーノ下議は説得に努めたが、狂気のデモ参加者らからツバをかけられののしられた。常軌を逸した雰囲気の中で説得は、徒労であった。
 ば声の限りを浴びせられたCUTのマリニョ理事長はデモ隊に向かって、「PT党員でもなければ、労働者代表でもない。ただの無頼漢だ」と叫んだ。
 中央銀行職員労組の組合員四千六百人は十一日、年金改革に反対して一斉ストに入ると声明を発表した。パラナ州では十一日、国税庁が一斉ストに入った。南大河州でも十一日、労働裁判所と州財務局、市出納局がストに入った。
 過激派は、戦果に手ごたえありと勝ちどきを挙げた。中心人物とされるエロイザ上議は「ブラジル国民の寄生虫である国際金融やヒモの国際通貨基金(IMF)の命令に従った年金改革に、抗議する初めての国民の意志表示だ」と演説した。ブラジルが改革すべきは、特権階級に私物化された国家機関だと訴えた。
 ルーラ大統領は、年金改革に対する抵抗は予想していたと語った。デモを指導したPT議員に、さらに圧力を加えるようジルセウ官房長官に指令。またこれしきのことで、政府は動揺しないと決意の程を示した。 
 官房長官は「造反議員は造反議員であり、同志は同志である」と過激派との間に一線を画すと宣言した。デモに加担したPT議員を政府の官職から排除し、公的資金の優先権をはく奪するとも声明を出した。
 ジェノイノPT党首はCUT幹部と会合を開き、CUTの部会役員にデモ参加者を加えないよう要請した。CUTの内部では、理事長と国家公務員連盟(CNESF)のドミンゲス会長の間で口論となった。CUTが、政府の尻馬に乗っているという。同会長は十四日、国家公務員一斉ストの是非を決定すると発表した。