6月11日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】連邦政府は九日、マネー・ロンダリング(資金洗浄)法制定を発表した。同法は十二カ条からなり、特に当局の死角とされたファクトリング(先付け小切手売買業)にも取り締まりが及ぶ。また弁護士や会計士には、顧客に対し手数料の出所を明示することを義務付ける。バストス法相とメイレーレス中央銀行総裁は、銀行口座の開設者を基本台帳による登録制にすることを発表した。
米連邦捜査局(FBI)のマネー・ロンダリング専門家を招いて、セミナリーを催した。これまで法務省と検察庁、連邦警察は、同件に関する連携が不十分であったことが認識された。一部署が重要資料を持っていても、他部署への連絡不十分のため大きなミスがあった。また捜査当局者のマネー・ロンダリングに関する知識も不足していた。
これまで当局の死角とされ安全な隠れ家であったファクトリングにも、捜査の手が及ぶことになった。ちょう報部は調査の結果、ファクトリングが不正資金にとって格好の抜け道になっていることを発見した。
マネー・ロンダリング法十二条のうち五条が法相と中銀総裁から十日、説明が行われた。第一は銀行口座開設者の基本台帳への登録。これは月末、議会へ上程され法令化される。法令は「公共安全の週」にちなみ、下院で重要緊急案件として扱われる。
これまで当局は市中銀行へ特定人物の調査表提出を要請していたが、これからは中央銀行が口座所有者の一括管理を行う。銀行取引の背番号性が実施され、自動的に預金者の資産状況が逆算されるシステムだ。これでラランジャ(名義賃貸人)やアセローラ(資産運用人)の捜査が可能になる。不審な資金の移動があった場合、自動的に資金は十五日間、凍結される。
中銀は市中銀行に対しても、数々のマネー・ロンダリング取り締まり規制を定める。十万レアル以上の資金移動には、全て追跡調査を行う。特に銀行窓口での現金引き出しには、捜査当局の目が光る。現金引き出しは、金融犯罪の足跡を消す手口として常套手段になっている。
政府は暫定的措置として金融管理審議会(COAF)強化のため、三十五人の金融犯罪専門家と契約した。法務省は、世界各地のタックス・ヘブンへ不正送金された資金回収のための専門部署を新設する。
ファクトリングはこれまで、中銀の監視の目が全く及ばなかったのでマネー・ロンダリングには大変都合のよい資金操作の場であった。これから中銀が、先付け小切手の売買に介入することになる。市中銀行が渡した小切手帳は一枚ごとに、厳しいチェックが行われる。その細則は、近日中に発令される予定だ。
さらに当局の監視の目は、マフィアや弁護士、会計士、資産管理人、投資顧問、金融コンサルタント、機関投資家、慈善団体、宗教団体などにも及ぶ。不正資金の隠れみのになりそうな所が、チェックされる。