6月11日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】美容産業が、不況に強い産業として脚光を浴びている。昨年度の衛生用品や香水、化粧品の売上高は、九十六億レアルに達した。一九九七年度国家税収の倍。過去五年における同分野の年間成長率は五%で、経済成長率一・五%の四倍という成長産業だ。
ニヴェア社のゾトロ社長は、ブラジル人女性の美容知識が黎明期(れいめいき)にあるという。マニキュアは初期の粗悪品を、口紅は原色ものを使用している。ブラジル市場は衛生用品や香水、化粧品では世界六位の有望市場。入浴用品や肌の手入れ用品では、九位と今後の市場開拓に期待がかかっている。
洗顔用クリームやメイキャップ用品の普及度は低く、庶民の購買力の向上次第だ。マニキュアと口紅の消費量では、世界でもトップ・レベル。ブラジル人女性には毎日、アイシャドウやリメル(まつげ)、ベースの手入れをする習慣が定着していない。顔面の皮膚の手入れや着色、つや出し、メーキャップ、しわ伸ばしは今後の課題として有望だ。
美容産業には、経済不況のクッションとなる性質がある。例えば女性は自動車を購入するだけの購買力がないと、化粧品を購入し肌の手入れをする傾向がある。経済の動向に反比例して、業界は今年二〇%増の売り上げを見込んでいる。
化粧品業界は不況のあおりが少ない部門なので投資は途切れない。女性の美ぼうは武器であり、説得力があるという考え方もある。美容につぎ込むのは、経費ではなく投資だとさえいわれる。