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難病治療に曙光=へその緒細胞で臓器培養

6月11日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】臓器の提供者を待つ難病疾患者の列で、順番が来るまで待てずに死亡する例は多い。人工臓器に取り組む研究者が、試験官受精卵から必要な幹細胞を取り出し培養する技術を開発した。今まで不要な幹細胞を廃棄するのは、生命倫理法に抵触するとして禁じられていた。
 米国ペンシルバニア大学のシュラー教授はマウスを使って単性生殖(雌雄の結合によらない生殖)の受精卵を幹細胞から取り出し臓器に培養する実験に成功した。サンパウロ大学(USP)医学部のリジア・ペレイラ教授は一日、同医学部でも実験に着手すると発表した。
 マウスで成功すれば、引き続き人間の単性生殖受精卵で人工臓器の培養に挑戦すると述べた。単性生殖受精卵を含有する幹細胞は、骨髄や出産時のさい帯(母体と産児をつなぐヘソの緒)の中にある。単性生殖は雌雄の結合によって生み出される受精卵ではなく、体内へ組み込まれた幹細胞の一部であって天の恵だ。
 骨髄から幹細胞を摘出するのはプロセスにまだ困難があるが、さい帯からは容易に摘出できる。この受精卵を一定期間、培養するとそれぞれの臓器へ分化する。この時点で必要な部分を取り出し培養を継続する。他の部分は保管する。
 疾患者本人の幹細胞を使用すれば、DNA(遺伝子)や細胞質が合致するので、臓器移植後の拒絶反応の問題も解決される。これからは出産時のさい帯は貴重品として病院が保管する。臓器不全、白血病、パーキンソン病、アルツハイマー病などの移植に、DNAが合致する娘の出産時のさい帯が理想的とされる。