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コラム 樹海


 文協(ブラジル日本文化協会)は会長以下新しい陣容で活動を始めた。先の理事会で二十九にのぼる委員会のトップが決まった。事務局長も若返った。二、三の委員会を廃止するなど改革第一歩の切れ味をみせる。事に当たって優柔不断ではないの心意気を示したところか▼真の組織活動はこれからである。改革刷新が期待されてのスタートだけにその一挙一動に注目が集まる。しかし、拙速は失点に繋がる恐れもある。あわてずに腰を据え「文協百年の計」を編み出してほしい。歴史ある文協の〃看板〃は風前の灯火から脱し、消えずに済んだ。文協創立の精神は案ずることなく生き続けることになる。したがって一世は謙虚な気持ちで次世代に任せていくことだ。現執行部の誠実さと使命感は、人後に落ちるものでないと確信できる▼仮に文協が一世の代で終焉し、雲散霧消したとしても、彼ら若い世代は必ず独自の路線で新しく強い団体を立ち上げただろう。それぐらいの潜在実力を持っている。にもかかわらず〃文協の看板〃を大切に掲げ守っていこうとしている。ここに確かなアイデンティティー(帰属意識)の根源をみる▼戦前の一世と二世の間で確執がなかったとは言えないが、とくに近年、戦後生まれの人々にはそれがない。同年代のみに相通じる仲間意識も旺盛で、互いに構える必要もない。双方国際感覚を身につけ識見の高さも共有している。若い世代に託すことで文協の間口は広がっていく。     (田)

03/06/11