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トラブル続くブラジル選手=―W杯後のJリーグ―=まるで助っ人〃害〃人=選手から監督まで=横浜Fマリノスを〃蹴〃ったカフー

6月6日(金)

 W杯終了後も盛り上がりが続くJリーグ。ペンタ(五度目)達成の実力を地元で見せ付けられた日本サッカー界は、ブラジルへの傾倒を深めているが、今季はトラブルばかりが目立っている。「助っ人外人」として獲得したのに、「助っ人害人」だったと嘆くクラブは多い。
 ■契約トラブル
 今年のJリーグ最大の目玉になると見られたセレソン(ブラジル代表)の現役主将、カフーの横浜Fマリノス入り。
 七月からの加入予定だったが、先月になってカフー自身がイタリアのテレビ番組で「来季はどこで契約するか分からない」などと発言。横浜サイドが事実確認に動き出すと「正式契約ではなかった」「新型肺炎に感染する国には行きたくない」などと言いだし、日本行きに消極的な態度を強調し始めた。
 イタリアのANSA通信は三日、カフーがACミランと合意したと報道したことで、カフーが日本で見られる可能性はなくなった。
すでに横浜は損害賠償請求の手続きも検討中だ。
 横浜よりも被害が甚大なのは、今季チームの柱として四億円もの大枚をはたいてFWエジムンドを獲得した浦和レッズだ。
 ブラジル時代からアニマル(野獣)の異名を取り、暴力事件や途中離脱の常連だったエジムンドは、今年三月リーグ戦の真っ最中に退団を表明。浦和は四億円をドブに捨てた格好となった。
 カフーと同じく昨年のW杯メンバーの一人、エジウソンは昨年に引き続き、今季も柏レイソルでのプレーを予定していたが、開幕直前の一月末になってもチームに合流せず行方不明。故郷のバイーア市で経営するレストランの経営問題などと盾に来日せず、結局柏に契約を打ち切られた。
 トラブルは選手だけに留まらない。鹿島アントラーズを率いるセレーゾ監督は、「鹿島を離れたい」などと途中離脱を示唆。その背景には古巣サンパウロFCの監督不在問題があった。
 五月二十三日のエスタード紙は、セレーゾ監督が代理人を通じてサンパウロFCにコンタクトした、と報道。現在は、続投の意向を示しているが先行きは不透明だ。
 ■遅刻の常連
 契約は果たしてもチーム合流に遅れるのも日常茶飯事だ。
 浦和のエメルソンはビザ発給の遅れなどを理由に合流が一カ月遅れたため、三百万円の罰金処分。
 同じく同僚だったエジムンドも故郷リオデジャネイロへの里帰りが長引き、合流がずれ込んだ。エジムンドは、過去プレーしたイタリアリーグ時代にもチームを無断で離脱してカルナヴァルに参加した「前科」もある。
 選手としての知名度は低いが、日本代表監督ジッコの長男、ジュニオールも今季J2の鳥栖入りが決定。二月中に来日する予定だったが、三月のカルナヴァルでも父ジッコとパレードに興じるなどして入団が遅れた。
 ■暴力沙汰
 ピッチの上でも「暴れ者」のイメージが定着しつつある。
 昨年も試合中に味方選手を蹴り上げる暴行事件を起こした札幌コンサドーレのウイルは、四月に札幌市内の飲食店で一般女性を暴行。刑事事件にはならなかったが、チームも頭を抱える存在だ。
 負傷による中断の際、マナーとして相手に返すべきボールを奪い取りゴールを挙げたことで注目を集めた大分のロドリゴは、クラブから厳重注意を受けた。今度は、試合中に相手MFに悪質な肘打ちを見舞い退場処分となった。
一九九三年のJリーグ開幕以降二百人を超えるブラジル人が登録されているが、問題を起こすのは一部の選手。せっかく高まりつつある南米回帰のムードに水が挿されることにも成りかねないだけに、選手はもちろんクラブ側の管理も問われる事になる。