中央銀行が24日、10月の経常収支は81億ドル超の赤字で、10月としては中銀が統計をとり始めた1947年以降で最悪の結果となったと発表したと同日付各紙サイトが報じた。
中銀が予想していた66億ドルを大幅に上回る赤字となった最大の要因は貿易収支の悪化で、10月の輸入は輸出を11億8千万ドル上回った。従来の10月の経常収支赤字の最高は昨年記録した70億9600万ドルで、その時の貿易収支の赤字額は2億3千万ドルだった。
ドル高傾向の中での貿易収支悪化は、輸出の要であるコモディティ価格の低下と工業製品の国際的な競争力の低下が続いている事を反映。国内の需要の多くを輸入品に頼る体質となっている事も意味する。1~10月の貿易収支赤字額は18億7千万ドルで、昨年同期の19億9千万ドルより若干改善した。中銀はまだ、年間30億ドルの黒字と予想している。
一方、ドル高の影響が数字となって表れ始めたのが、ブラジル人旅行者が国外で落とすドルなどを含むサービス収支だ。1~10月のサービス収支赤字額は昨年同期比1・4%増の399億5千万ドルで、昨年同期に記録した15%増より大幅に減速した。ブラジル人が外国旅行で使った金は9月比11%減の21億2千万ドルだが、10カ月間の累計は217億6千万ドルで、昨年同期の209億3千万ドルを上回った。外国人旅行者が10月にブラジルで使った金は4億8800万ドルで、16億3700万ドルの出超。1~10月の赤字は158億5千万ドルとなった。
多国籍企業が国内で上げた収益の本国送金や負債の支払などの所得収支は1~10月に197億2千万ドルの赤字を計上。昨年同期の183億7千万ドルの赤字より若干の増加に止まった。
中銀は11月の経常収支の赤字見通しを、やはり47年以降で最悪の80億ドルに修正。この予想通りとなら11月までの累積赤字は788億ドルとなり、年間800億ドルの赤字との中銀の予想は突破不可避だ。
気がかりなのはこれらの赤字をどうやって埋めるかだが、10月の外国直接投資額は49億7千万ドルで、1~10月の累積も511億9千万ドル。昨年同期より4・08%増えたが、中銀が予想する年間投資額の600億ドルをもってしても経常収支の赤字は埋まらない。外国直接投資で経常収支の赤字が埋まらない状態は昨年から続いている。国外からの金融投資や国外での融資獲得などに頼る必要があるが、米国の量的緩和停止やブラジルの低成長など、国外の投資を呼ぶ条件は悪化している。ブラジル政府は外貨準備高が充分あるというが、ドル高抑制などで費やした部分も大きく、今後の対策が注目される。