将来を嘱望された24歳の美女モデルが、サンパウロ市の麻薬の巣窟「クラコランジア」でやつれた表情で麻薬を求める姿が報道され、現在大きな話題を呼んでいる。
雑誌「ヴェージャ・サンパウロ」は22日発売の最新号で、別人にしか見えない同一人物の2枚の写真を表紙に載せた。左側には輝かしいモデルとしての姿、そして右側には、髪をぼさぼさにして生気が失せ、顔の血色の悪い、その女性の現在の姿だ。
ロエミ・マルケスさん(24)は、端正な顔立ちと179センチの長身を生かし、故郷のマット・グロッソ州からサンパウロに上京し、スキン・モデルという会社でモデルになるためのコースを受けていた。
そのキャリアは順調に見えたが、2012年9月、出来心でサンパウロ中央部のジュリオ・プレステスに大麻を買いに出かけたときに悲劇がはじまった。ロエミさんはそこで強盗に襲われ、携帯電話2台と所持金800レアルを盗まれた上、口に麻薬用のパイプをくわえさせられていた。これがクラック常用のはじまりだった。
ロエミさんのモデル・エージェンシーのデボラ・ソウザさんは、ロエミさんについて「モデルとしての素質が非常に高く、この世界で成功する可能性に満ちていた」と語っている。だが、デボラさんによると、ロエミさんは次第に起用法に文句を言いはじめるようになり、仲間と大声で喧嘩をしたりもしはじめたという。あるときは、服を着替えて現れたときに服に麻薬のにおいがしみついていたといい、そのうち、デボラさんとも連絡が途絶えた。
ロエミさんはクラック中毒が悪化し、そのうち中央部の麻薬の巣窟「クラコランジア」に入り浸るようになった。一度は入院を思い立ち、故郷のマット・グロッソ州に戻ったが、またクラコランジアに戻ってきた。生活費は娼婦となって体を売ることで捻出し、金を稼いでは麻薬に使う。生活の場もクラコランジアに移ってしまった。
そんなロエミさんの姿は「ヴェージャ・サンパウロ」に掲載されるや否や大きな反響を呼び、すぐにクラコランジアにテレビ局が殺到した。局側は「ロエミさんにチャンスを」と、ホテルへの宿泊や病院への入院を申し出たが、ロエミさんは「行きたくない。2日間寝てないから、今は気絶するまで起きておいて、その後で施設に入院する」と語った。
ロエミさんは翌23日にもクラコランジアで姿を目撃されたが、会話をさけ、クラコランジアに何十とある仮設バラックの影に紛れ込むと、長身の彼女でさえ他の常習者とまるっきり見分けが付かなくなってしまった。(24日付フォーリャ紙などより)