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経済成長がマイナス=政府に批判集中=GDP第1四半期0・1%減=地理統計院が発表

5月31日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】地理統計院(IBGE)は二十九日、二〇〇三年度第一・四半期の国内総生産(GDP)が前期比で〇・一%マイナスになり、昨年第四・四半期からスタグフレーション(景気停滞の中のインフレ高進)に入ったと発表した。昨年同期比では、二・〇%増で、これは農畜産物輸出の昨年同期比八・六%増に支えられたものと述べた。

 新政権の経済政策に対する第一・四半期のバランス・シートが発表された。工業生産の第一・四半期は前期比で二・二%減、昨年同期比で二・九%増ときわめて低調であった。昨年第一・四半期は節電計画で工業が電力不足に悩むなかの二%増のGDPであった。
 それに引きかえ農産物、特に大豆の第一・四半期の成績は昨年同期比一八・二%増と驚異的結果をもたらした。GDPは見ての通り二〇〇一年から減速経済に入っており、辛うじて国内経済の破綻を支えているのは輸出産業だ。
 今年第一・四半期の輸出は昨年同期比で二〇・二%増と、三四半期連続で二〇%以上の成績を上げている。輸入は昨年同期比四・六%減で七カ月連続で下げた。 輸出の好調は、堅実な国内市場が間接的に支えている。国内市場が低迷すれば、やがて輸出も衰微する。農産物輸出のための国際市場見通しは、二〇〇五年まで楽観的とみている。それから先は、国際リスクに耐える国内市場を育てておく必要がある。
 農産物輸出は長年八千万トン前後で伸び悩んでいたが、十年前から成長産業に転回した。農産物の貿易黒字も十年前の千四百七十億ドルから、今年末は千七百億ドル予想で好調そのものだ。農産物輸出が、ドルを渇望する国内経済を潤している。
 輸出産業の育成には、母の懐ともいうべき「背後で支える国内市場」が必要だ。国際リスクを縮小する国内市場を育てるために、消費者の購買力も育てる必要がある。経済成長率一・五%に対し農業の成長率八・五%は、不安定だ。
 GDPの五九・三%に相当する消費者市場をのぞくと、今年の第一・四半期は昨年同期比の二・三%減、前月比〇・六%減で所得の低下と金利高、クレジットの衰退を明示している。工場設備の更新や土木事業への国内投資をみると、前月比で四・六%減、昨年同月比で一・五%減と低調。市民の生活は、確実に貧しくなっている。
 ボストン銀行のアゼベード財務部長は、ブラジル経済が昨年下半期から減速経済に入り、今年第一・四半期は完全に停滞したという。第二・四半期は、中央銀行が基本金利の据え置きを決定したことで国内産業にとどめを刺し、さらに憂慮すべき事態にあるとした。
 パロッシ財務相は、高金利が経済成長の妨げになるという風評に反論した。低成長率の原因は金利だけでなく、批判する人も含めて国民全員と政府全機関の非協力の結果だと反駁した。経済成長は金のなる木を探すものではなく、インフラ整備や技術革新に投資して生産することだと述べた。