5月30日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十九日】DIEESE調査会社は二十八日、大サンパウロ市圏の四月における稼働人口の失業率が二〇・六%、失業者数百九十四万人で過去最高に達したと発表した。マンテガ企画相は「前政権の誤った経済政策の余罪」だと責任転嫁し、今年下半期には必ず回復すると約束した。地理統計院(IBGE)は経済調査院(IPEA)の資料に基づきインフレだけが高進していると報告した。
大サンパウロ市圏で特に深刻なのは、二十五歳から三十九歳の家族を扶養する層とされる。企画相は下半期から就職前線は回復するというが、詳細な説明がなく希望的観測に過ぎないようだ。
昨年の第一・四半期は農産物輸出が予想以上の成績で活気を呼んだが、今年同期は農産物輸出だけでは景気の刺激にはならなくなった。昨年同期は経済成長率が一・五%で、国内市場は不調であったのに輸出が空前の活況を呈し助けられた。
今年も農産物輸出は盛況だが、ブラジル経済の牽引車としては間に合わなくなった。輸出総額は昨年四半期ごとに連続成長をしたが、今年第一・四半期はわずかに減速した。調査企業の統計では、今年第一・四半期の国内総生産(GDP)は昨年同期比〇・四%マイナスという。
景気予測の専門家によれば、経済成長は国内市場の回復に待つしかない。輸出は現在ブラジルの持つインフラ(産業基盤)では精いっぱいの成績を挙げ、限界だとしている。インフラ整備がない限り、輸出でGDPを引き上げるのは不可能とみている。
問題は、新政権になって国内市場を育成していないこと。高金利政策と潜在的インフレは、購買力回復の妨げとなっている。関係者は景気回復のためには思い切って金利を引き下げることだという。インフレ対策は、単なる金利政策だけではなく構造的に改革しなければ徒労に終わるとみている。
今年第二・四半期の見通しについては、さらに落ち込むとされる。中央銀行の高金利維持のために第一・四半期のGDPは、第二・四半期へ良い結果をもたらさない。五月の中銀通貨審議会の金利据え置き決定は、可処分所得の減少で六カ月にわたり景気低迷を産業界にもたらすと、関係者は予測している。
四月の工業生産が昨年同月比三・六%マイナスに落ち込んだ。サンパウロ州工連(FIESP)は第二・四半期の経済減速は顕著だとした。三月がカーニバルを挟んで生産弱の月にかかわらず、四月の生産は前月比わずか〇・六%増に過ぎない。
四月の工業生産がわずかでもプラスで保たれたのは、輸出に助けられた部分が多い。輸出を除いて国内市場だけで見るなら、一三%の落ち込みとFIESPはみている。四月に良かったのは運輸機材の前月比三・七%増、悪かったのは食品の四・二%減と段ボールの五・三%減であった。