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ゼーリック米通商代表 ブラジル提案を拒否=FTAA予定の発足主張=農産物補助金 条件付きで削減=国家の主権侵害に警戒

5月29日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】ロバート・ゼーリック米通商代表(USTR)は二十七日、米州自由貿易地域(FTAA)構想交渉のため来伯した。ブラジル政府が提案したメルコスルと米国が直接交渉する4プラス1案と二〇〇五年一月一日のFTAA発足予定日の延期案を拒否すると、同代表は言明した。また農産物の補助金制度は、ブラジルが世界貿易機関(WTO)で譲歩した場合にのみ削減に応じるとした。

 ゼーリック代表はブラジル政府の提案を拒否した。4プラス1案は、FTAAの枠組み全体に影響を与えるというのが理由。農産物の補助金制度は、WTOでブラジルが米国の同盟国と見なせるかの試金石だと言明した。
 同代表は会談が行われた財務省を退出に際し記者団へ、FTAA締結に向けて妙案を持っていると述べた。米国マイアミで十一月に開催予定の伯米首脳会談は、FTAAに関する未解決問題が氷解する絶好のチャンスだとした。
 理由はフランスのエヴィアンで六月二日、伯米大統領が合流、G8サミットに並行して話し合いができること。次にワシントンで六月二十日、両大統領は再会すること。また米国メリーランドで六月中ごろ、米州三十四カ国から十三カ国の産業通商関係の閣僚会議が計画されているなど。
 これで地は固まるはずであり、4プラス1案は廃案になる。この段階でFTAAを覆っていた霧は取り払われると、同代表は見通しを述べた。
 米政府の意向は、FTAAでブラジル政府が米政府の片腕として、責任をもってリーダーシップを取ること。ルーラ大統領に期待するのは、FTAA成功への政治能力。同構想の中に置かれている立場からルーラ大統領は逃れられないと、同代表は述べた。
 伯米両政府は二〇〇五年のFTAA発足に向けて神経を集中すべきだと主張した。脆弱な世界経済と不確定なラテン・アメリカの地域経済から見て、南北大陸の団結は急を要することであり、全ての国にとって問題の解決につながるとした。
 しかし農産物の補助金制度は、WTOにおけるブラジルの譲歩次第だとした。
米国に補助金制度の廃止を求めるときは、日本とEUにも同制度の廃止を要求すべきだと条件を付けた。
 PTはホームページにラッフェル前外相によって外務省を追われたサムエル・P・ギマランエス外務次官の次のような論説を掲載した。FTAAは本質的に国家主権を侵害する危険性をはらんでいる。イラク武力介入で米外交の手法は見ての通り。FTAAに関する米提案は、拒むことができない性質ものと糾弾した。  
 FTAAはNAFTAと大同小異。FTAAは、米国に有利な内容の不平等条約としている。FTAAが施行されたら、ブラジルの経済発展、通商政策、工業政策、技術革新は米政府の傘下に組み込まれることを余儀なくされる。