5月29日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十八日】ルイス・イナッシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領は二十七日、政権発足後初めてブラジリア大統領府で記者会見を開いた。大統領は会見中、「国内外での政治で失敗することはない」と自分の政治力に強い自信を持つことを明確にした。また、外国人記者団に対し、「わたしは変わっていない」と断言した。
先に外国人記者団との記者会見に応じたルーラ大統領は、当選前と同じ政治観点・イデオロギーを持っていると言明。だが新しい状況に順応する必要があったとし、「わたしの考え方は変わっていない。変わったのはわたしの人生の方だ。結婚後、妻の都合を考慮して、自分勝手に行動がとれなくなるのと同じ」と説明した。
同日夕方、ブラジル人記者十一人に対する記者会見が開かれた。フランス・エヴィアンで開催されるG8サミット(主要先進国首脳会議)へ大統領に同行する許可を得た記者たちで、約九十分にわたって大統領と質疑応答を行った。
ルーラ大統領が以前ブラジル人記者の会見に応じたのは、スイス・ダヴォスで開かれた世界経済フォーラムの一度だけだった。前回と同じく、録音機器は一切使用不可。だが会見内容の公表の許可は出た。以下、項目ごとに掲載する。
[経済政策]ブラジルの経済政策を変えたい。前政権の経済政策から高金利などの問題点を受け継いだが、前政権よりも大きな財政黒字も得ることができた。産業部門に投資し、ふさわしい配給のある就職を増やす経済となる。
[金利]金利は、インフレが再来しないという確信が得られた時、少しずつ下がっていく。
[ジルセウ官房長官の発言に賛成するか(同長官は二十三日、現政権の金融・税制政策は経済活動を衰えさせていると発言した)]大統領は否定的な見方を公言しないものだ。
[飢餓対策]G8サミットで、飢餓対策のための国際基金の創設を訴える。今年、訪問するヨーロッパ諸国でも同様に強調する。
[米州自由貿易地域(FTAA)]ブラジルは米州よりも南米諸国を優先し、我々にとって不利な米国の提案に対して厳しく交渉をしていく。
[農地占拠運動(MST)]MSTの行動に過ぎる点があることは認めるが、すべての問題がMSTの責任ではない。農業関係の包括政策を近々発表するつもりだ。
[労働者党(PT)内過激派]PTは一九八五年、党の指示に反した三人の下院議員を追放した。自分の考えを表示することは禁じられていないが、党の方針に賛成できないのなら脱党した方がいい。
[犯罪問題]現在のブラジルの政治体制では、組織犯罪の撲滅を図るのは難しい。犯罪組織は行政、司法、企業など、背後に強力な組織を控えている。軍隊を使用する気はない。