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中銀債務決済法を変更=漸時、為替証券引き上げ=間接介入でドル反騰=輸出産業活気取り戻す

5月28日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】中央銀行の通貨審議会は二十六日、ドルに連動した為替証券を満期に全額更新しない方針を発表した。パロッシ財務相は中銀が為替介入から徐々に手を引き、金融市場を刺激することなく、動揺させることなく政府のドル債務を漸時削減する方針と述べた。これから中銀が発行する為替証券は、満期で決済した債務総額より少なくなる。

 中銀の為替証券に対する決済法の変更は、従来満期となった証券を全額決済していたものを、今後は一部を決済し残部は決済保証のみとする。これはドルの変動を国内通貨または為替証券でドルを購入することで、為替差損を防衛させ為替相場を自動調整する目的だ。
 中銀決定の主な内容は次の通り。一、為替証券の更新に確定相場を設定しない。二、為替証券の全額更新をしない。三、債務決済額以下の為替証券だけ発行する。四、為替証券の総額は公共債務の三〇・三六%以下とする。五、為替証券の更新率が一〇〇%以下のとき、中銀は差額分証券を引き上げる。六、為替証券の引き上げは財政の体質改善が目的で、為替市場の操作ではないとしている。
 六月以降市場から為替証券を引き上げることで、為替市場はドル高傾向になる模様だ。市場関係者は、今回の中銀決定がドルの間接介入とみている。レアル通貨の急騰は、輸出産業に弊害があることから採られた方針ともみられている。
パロッシ財務相は、政府の資産状況は特異なもので政権引き継ぎ当初から、為替証券の全額更新は停止する予定であったと述べた。
ただし中銀決定のドル債務削減は、経済成長を促すことが前提条件で無理な調整はしないという。中銀は今回の決定で為替変動の影響が、金融市場に冷水を浴びせ取引が低減するという予測だ。
 輸出産業部門は、中銀決定が為替事情の好転に役立つとの予想で評価している。これから変動幅も縮小して、相場が落ち着くと期待している。しかし政権中枢部が金利政策で分裂し、輸出業者協会(AEB)は政府方針を試行錯誤とみて安定性を危惧している。
 協会の統計では、為替が一ドル三レアルの時点で百六十億ドルの輸出契約を受注した。これが三・四〇レアルであったなら、二百億ドルの貿易黒字が確定とされる。中銀決定は遅れたが、経済成長には正解であったと協会は歓迎した。
 ドル安と金利高で動向が危ぶまれた輸出産業は、活気を取り戻せそうだ。五月の四週間で十七億一千六百億ドルの貿易黒字を計上して、過去最高となっている。一月から五月までに累計で貿易黒字が七十二億五千四百万ドルと好調だ。
 ドル通貨の落ち込みは、まだ貿易収支に表れていない。五月の輸出高は昨年同月比で四〇・二%増。一月から五月の累計で四十七億四千三百万ドルで昨年同期比で二九・三%増と悲観的事態には至っていない。