5月28日(水)
【エポカ誌】ジビア・ガスパレットスさんは、イタリア移民の子孫でサンパウロ市イピランガ区に住む平凡な主婦。一家は両親をはじめ四人の息子ともに、全員超能力者だ。母親ジビアさんは、天使との会話を記録してシリーズを発表した。それがロング・ベストセラーとなり五百万部を売り上げた。シリーズの内容は、どれも自己啓発もので好評だ。
超能力者の書籍は、ほかにもシッコ・シャビエル氏の本が二千五百万部、ジバウド・P・フランコ氏の書籍が七百五十万部売れている。ジビアさんの本は交霊術独特の専門用語を使わず、誰にも分かる平易な言葉で自助努力の貴さを教えているので、交霊術嫌いの人にも多く読まれている。
ジビアさんによれば、人間はすべて霊的存在で肉体は入れ物に過ぎない。鏡に映る自分の姿は、入れ物であって自分自身ではない。自分自身は、見えない霊なのだそうだ。人間は死ぬと、肉体という入れ物を脱ぐ。しかし霊は生き続け、死なない。死生一如なのだ。霊性は誰でも持っているので、訓練すれば誰でも超能力者になれるとしている。
物体を動かせるのは、人間や動物だ。霊には動かせない。しかし霊には全ての物質の源である波動を生じさせることができる。人間は物体を動かすことも、波動を生じさせることもできる便利な生物だという。人の活動は無私と奉仕が前提で、報酬は結果として得るもの。モノが動けば、カネは付いてくる。利益追求が人生を難しくしているという。
ジビアさんは出版物から宗教色を取り除き超教派的編集にし、誰にも納得できるような論法を取り入れた。それからはジビアさんに、講演や講師の依頼、ラジオやテレビの出演、CDやカセットの吹き込みと注文が殺到。シシリアノ出版社とサライバ出版社から入る印税だけでも、年間に千七百万レアルある。
ブラジルに多くの信徒を有する心霊教会の中で、ジビアさん一家は新しいタイプの超能力者として注目されている。次男ルイスさんは画家で、バン・ゴッホの霊に導かれ二分半で一点を描く。すでに三万点を売り上げたという。
また講演でも、ルイスさんは毎日多忙だ。釈迦やソクラテスなどの聖人は、超能力者で自助努力を説いた教師だという。同氏も同じように講演を引き受ける。一回四万レアルの謝礼で外国からも引く手あまたの超売れっ子だ。
ジビアさんは超能力者が資産を築くことは、不謹慎ではなく自然の成果と語る。霊界の訪問者が語る自己啓発のメーセージは、多くの人を励ますため積極的に伝えるよう奨励しているという。自己啓発以外の本は、ほかの人に任せるように天使から言われたと弁解する。
しかし批判は多い。シッコ・シャビエル氏は莫大な収入を全額、心霊教会へ献金した。教会から提供される質素な生活と食事で、自身は生涯を過ごした。ジバウド・P・フランコ氏も利益を全額、孤児院に寄付して自分はわずかな年金で一生を終えた。天から受けた恵みは、一銭たりとも私腹を肥やすことには使わなかった。